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2015年11月の読書まとめ

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:1471ページ
ナイス数:104ナイス

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/3 号 [国連の限界]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/3 号 [国連の限界]感想
国連の無力さは確かに以前より感じてはいた。国際紛争を解決する国連軍は、多国籍軍によって解決される場合が多いし、国連による非難も当該国に届かないことが多い。それでは国連に意味がないのかといえばそうでもなく、国連から脱退するということは国際社会から孤立することを意味しており、いわば国際社会の社交界のような場所と思えば良いのかもしれない。社交界そのものは何も問題を解決してくれないけど、そこに行かねば社会で孤立するだけなのだ。期待してはならないが、軽んじてもいけない、それがいまの国連なのかもしれない。
読了日:11月2日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/10 号 [アメリカvs中国]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/10 号 [アメリカvs中国]感想
日中南シナ海の攻防が特集のテーマ。南シナ海への進出という強烈な野心を隠そうとしない中国と、遅きに失した行動しかとれぬアメリカの思惑。火薬庫とまで表現されてしまうほど非常に緊迫した状況ではあるが、中国もアメリカも経済的に非常に強固に結び付けられた関係なので、戦争という最悪の事態には結びつかないと考えられるが、実際に影響を受けるベトナム、インドネシア、マレーシアあたりが冷静な態度で居られるかが問題の肝になりそう。第一次大戦でもプリンチェプという一青年が皇太子を暗殺したことがきっかけだったしね。
読了日:11月8日 著者:
戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)感想
戦術というものを基礎から解説し、後半は全てシミューレンション問題にあてられるという斬新な構成がされた本。自分は戦術についてはまったくの素人だし、迫撃砲隊と戦車隊は何が違うのかいまいちピンとこないけど、それでも本書後半のシミューレンション問題は抜群の面白さだ。原則に基づき、敵の動きを予測し、合理的な判断を下す。ときに大胆に、しかし代替案を選択できる余地を確実に残せる行動を選択していく。体力のいる読書だったけど、まったく新しい読書体験をさせてくれた良書でありました。
読了日:11月8日 著者:松村劭
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/17 号 [大統領選に異常あり]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/17 号 [大統領選に異常あり]感想
短い特集ではあったが、難民ビジネスの極悪さはまさしく地獄という他ない。決死の覚悟で何千キロも逃げてくれば、そこで難民収容施設に閉じ込められる。難民認定書が数日で発行されるというので信用していれば、数ヶ月経っても音沙汰なし。実際には難民に支払われる支給金がすべてマフィアに渡っており、彼らは半永久的に劣悪な施設に閉じ込められる。子供は倉庫に監禁され、欧州に逃げ延びるまでに何人もの友人と死に別れ、女性は例外なくレイプされる。地獄そのものだ。
読了日:11月13日 著者:
ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるかホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか感想
バカバカしい質問に対し、元NASAの技術者が科学と数学と持ち前のユーモアで、ときにあっと驚く、しかし皮肉に満ちた答えを導き出す科学書。雰囲気としては20年ほど前に大流行した空想科学読本のノリに近い。こういう本を読むと科学や数学の面白さを再認識させてくれる。数学や物理学とは、見えないほど小さく、触れないほど熱く、途方もない未来や遠距離にあるものであっても、どんなことがおこるかをある程度の正確さで予言できてしまう学問なのだ。これから進路を考える学生にも、勉学から離れてしまった社会人にもお勧めできる良書。
読了日:11月16日 著者:ランドール・マンロー
いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)感想
いつかパラソルの下でを読書中。率直に言って、自分にはこういう本は合わないことがわかった。人の日常生活にこそ人間の本性と真実があると言えば聞こえは良いけど、私にとって本書は、他人の家の家庭事情を覗き見してるような気がしてならず、読んでいる間どうにも居心地の悪い思いが消えなかった。とは言え心理描写や叙情的な表現は見事なものだし、男性の性もそれはそれはよく表現されてるので、こういう本が好きな人は好きかも。
読了日:11月19日 著者:森絵都
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/24 号 [スー・チーは聖人か/フランス・厳戒態勢でも防げなかったパリのテロ]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/24 号 [スー・チーは聖人か/フランス・厳戒態勢でも防げなかったパリのテロ]感想
もしかしたら今週は緊急特集としてパリのテロが記載されるかと期待してたのだけど、さすがにそれは無理だった模様。今週の特集は圧倒的な得票差で圧勝し政権交代を実現したアンサンスーチー女史。この事実は確かにミャンマーにとって歴史的転換点のひとつかもしれないが、本書が指摘する通り既存の軍事政権が彼女に権力を大人しく引き渡すわけもなく、これからは「軍の政権運営に口を出せるようになった」程度のものなのだろう。それでも大きな一歩であることに違いはないが、30年前のクーデターが起きないとも言えないことを考えれば油断は禁物。
読了日:11月21日 著者:
エレンディラ (ちくま文庫)エレンディラ (ちくま文庫)感想
どこか陰鬱としながらもひとひらの不思議が世界に花咲く、そんな物語。しかし物語の実にあるのはまさしく人間賛歌そのものであり、か弱く儚いと思っていた少女も図抜けた強さを秘め持ち、歯向かうものすべて破壊せしめんとする男にも意外なほど弱々しい心底が隠されてたりと、人という生き物の真相、本質を抉り出している。主題にもなっているエレンディラの「もう嫌、許してお祖母様」という叫びは、まさしく未成年が大人に搾取される悲劇そのままの表現であり、恐るべき運命、恐るべき悲劇を文字通り体現している。良書。
読了日:11月24日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
日本版ニューズウィーク [雑誌]日本版ニューズウィーク [雑誌]感想
当然というべきか、今週はパリのテロ事件特集。先進国が狙われた大規模なテロ事件として911と比較されてるけど、結局あのときから歴史は何も変わってない、という論調があまりに物悲しい。むしろアルカイダに比べ経済力・組織力・支配地域力でさらに危険度を増したISISが相手であり、しかもEUへの難民流入や容易な国境越えが事態をさらに複雑化していることを考えると、暗澹たる気持ちになる。果たしてこの事件が歴史の分水嶺になるか。
読了日:11月28日 著者:
とある飛空士への誓約〈1〉 (ガガガ文庫)とある飛空士への誓約〈1〉 (ガガガ文庫)感想
飛空士シリーズ完結の報を受け、数年前に購入済みの一巻をこのたび読書。さすがは犬村氏、と唸ってしまう構成力に脱帽です。恋歌のときのようなダラダラしたプロローグが延々と続くようなことはなく、すぐさま迎える危機、危機、危機。士官候補生たちにこれでもかと襲い掛かる試練の数々にページを捲る指は一切止まりませんでした。しかしこれでも、まだ物語は始まったばかり。これからの展開にワクワク感満載です。ここからいっぺんに読んでいくよ!
読了日:11月30日 著者:犬村小六

読書メーター
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2015年5月の読書履歴

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3273ページ
ナイス数:95ナイス

マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)感想
マネーロンダリングと聞いて真っ先に浮かぶのは「麻薬など犯罪で得た収益を如何に当たり障りのない収益であるかのように見せかけるか」という技術だが、実際は「富裕層が自身の資産を税金から逃す」技術という側面もある。筆者によれば両者は目的が違うだけで手段は同じものが使えるようだが、金融技術に疎い自分はそれらをなかなか理解できなかったのが残念。特に本書前半の技術はかなり高度で理解が困難だった。
読了日:5月3日 著者:橘玲
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義感想
池上氏の東工大リベラルアーツ本。今回も大学講義の内容をもとにしているため、内容は問題点や重要なポイントをさらうだけの概要といった趣が強い。日教組関連については日本の教育の大問題という書の方が詳しいし、戦後の問題についても「そうだったのか!」シリーズがわかりやすい。本書はやはりこれらの概要を掴み、興味を持つための入り口として読むのがいいかも。そう割り切ると素晴らしい良書と思う。
読了日:5月7日 著者:池上彰
ソープランドでボーイをしていましたソープランドでボーイをしていました感想
こういう下世話な裏社会的な話が大好きな自分としては、今回の本も大変興味深く読ませていただきました。毎日午前11時から夜の12時半まで働き、その後食事、風呂、洗濯とすれば眠れるのは朝の四時ころ。そして11時になったらまた出勤して……と繰り返す毎日。これで休日は月に3日しかないという激務。名前からは想像できない過酷な勤務内容は読んでて同情してしまう。しかし最後の筆者の「体一つあればこれだけ稼げる仕事があることを知ってほしい」という一言はどこまでもポジティブで元気付けられる。
読了日:5月7日 著者:玉井次郎
宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)感想
天体と宇宙への探求に関する歴史を追った良書。古代ギリシャ時代から20世紀初頭に至るまで、人類がどのようにして宇宙の謎に挑んできたかが詳らかにされている。特に好感がもてるのは、ただ正しい答えを導くのではなく、どのようにして人類が間違えてきたのか、その間違えた知識や常識を学者たちはどのようにして是正してきたのかまで詳しく解説されてる点だ。天動説から地動説への決定的なシフトはニュートンによってもたらされたと考えていたのだが、実際はガリレオやケプラーの観測結果が大きく寄与していたのは知らなかった。良書です。
読了日:5月11日 著者:サイモンシン
宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)感想
素晴らしい。本書の形容はその一言に尽きる。宇宙はどうやって始まったのかという大難問に対し、核子と電子のスープから始まったとするビッグバンモデルと、宇宙の膨張に伴って新しい核子が生成されるとする定常モデルの熾烈な激論が繰り広げられる。現代に住む私たちはビッグバン説が有力であることを知識として知ってるが、当時の学者たちがどのような理論と観測と証拠でビッグバンモデルを選択したのか、その論争はむしろ戦争と呼ぶに相応しい!本当に面白い科学史本でした。超オススメ。
読了日:5月15日 著者:サイモンシン
僕は小説が書けない僕は小説が書けない感想
清々しい青春小説。まさに白乙一、もとい、中田永一の真骨頂とでも言うべき甘酸っぱさが満載の一冊。読みながらにまにましてくること確実だ。と、ここまで書いてから気づいたのだが、これは中田永一だけでなく中村航との合作という。しかも2人で交互に書き進めたとか。マジっすか。この辺の制作秘話とかもぜひ知りたいなあ。
読了日:5月19日 著者:中村航,中田永一
不変量と対称性: 現代数学のこころ (ちくま学芸文庫)不変量と対称性: 現代数学のこころ (ちくま学芸文庫)感想
大変興味深い内容が目白押し。15パズルで解ける配置と解けない配置の違いは何か?それをどのように見分けるのか?また合わせ鏡にしたときに出てくる像の法則や、結び目に現れる意外すぎる対称性など、興味は尽きない。だがもっとも新鮮だったのが第7章だ。q分三角形が自分自身の相似形になるのはどのようなqのときか、という問題にモジュライ空間を使って解明するのだが、それが鮮やかでダイナミックで美しく、しかも導かれるのは意外な結論と、本当に驚かせてくれる。数学好きの方にぜひ読んでいただきたい良書。
読了日:5月22日 著者:今井淳,中村博昭,寺尾宏明
知らないと恥をかく世界の大問題 (6) 21世紀の曲がり角。世界はどこへ向かうのか? (角川新書)知らないと恥をかく世界の大問題 (6) 21世紀の曲がり角。世界はどこへ向かうのか? (角川新書)感想
池上氏の論調が変わってきたことを実感できる一冊。これまでは民主党の失敗や中国、韓国に対する発言は極力セーブされていたか、本書ではかなり公平な立場での発言が見て取れる。おそらくこれまではテレビでの露出が自身の本の売り上げに大きく影響していたためテレビ局の意向に従わざるを得なかったけど、もはやテレビに頼らずとも本の執筆で充分食っていけるようになったために持論を展開できるようになったのかな、と推察。冷静な視点で現代の諸問題を見直せる良書。
読了日:5月23日 著者:
オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3)オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3)感想
テスタメントが発売されたので久々に再読。ほとんど内容を忘れていたのでめちゃくちゃ新鮮な気分で読み終えられました。そして確信するのは、やはりこのシリーズは最高に面白いのだという事実。乙女な陽炎にツンデレな涼月、そして過去の記憶を一部取り戻してしまったが故に悲しみの底に暮れる夕霧。三巻は四巻への布石という側面が強い巻でしたが、とにかく聖週間の事件を紐解くためにもスプライト三巻を読まなければ!じかんがこれほど待ち遠しい小説というのは本当に珍しい。最高のエンタメ小説。
読了日:5月25日 著者:冲方丁
スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝 (3) (富士見ファンタジア文庫 136-10)スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝 (3) (富士見ファンタジア文庫 136-10)感想
息をのむ展開!思わず叫びたくなる怒涛の展開!再読なので全体のざっくりした物語構成は知ってるはずなのに、それでも数年ぶりに読む本作のストーリーにはただただ感嘆するしかない!ジェットコースターのように次々と戦況が変わり、悪化することはあっても好転することはついぞなく、絶望と失意だけが漂う中で、我らが要撃小隊だけは喜びにも似た絆の強さだけを胸に、最後の飛翔を実行する。その気高さたるや涙が次々と溢れてくるほどだ。本当に凄い小説!まったき良書であることを再確認した!
読了日:5月28日 著者:冲方丁
オイレンシュピーゲル肆  Wag The Dog (角川スニーカー文庫)オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (角川スニーカー文庫)感想
数年ぶりの再読。言葉にならないこの面白さ。これまでも小隊を襲う危機はいくつもあったけど、今回のそれは特大級。敵は自分たちよりも強大な装備を誇り、援軍はなく、一般市民を守りながら、なぜ守らねばならないのかわからぬものを必死で守らねばならない矛盾と戦う。それでも小隊長であり主人公の涼月は、生来の底なしのガッツと闘志で絶望的な戦いに身を投じる!これぞ極上のエンターテインメント小説だ。
読了日:5月31日 著者:冲方丁

読書メーター

ためしに先月分の読書履歴を投稿してみる

読書メーターを使って読書管理をしてるのですが、
その機能を使って先月分の履歴を投稿してみたいと思います。

2015年3月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2210ページ
ナイス数:38ナイス

民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1)民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1)感想
民間軍事会社というと、傭兵を派遣する「死の商人」という偏見があった。しかし実態は、彼らの業務の大半が要人護衛、ロジスティクス、キャンプ施設や食事などの後方支援であり、時には国民からのコンセンサスを得るために思想操作までサービスの一環として提供する企業があるというから驚きだ。東西冷戦時のような単純な構造ではなくなった現代の対テロ戦争では国家を越えた安全保障が必要であり、いかな米国といえど国家をまたいだ計画を立てることは困難である現実を見据えると、このような民間軍事会社が発展してきた歴史に納得ができる。
読了日:3月31日 著者:菅原出
超ファミコン超ファミコン感想
昔懐かしのファミコンゲームの数々を取り上げ、当時の情熱や社会状況、そして不条理すぎる難度などなど、様々な要素を多面的に思い返しながら懐古の念に耽られる一冊。ただ、やはり取り扱っているテーマがテーマなだけに読者は非常に選んでしまう(自分のようなアラフォーでない限り楽しめないだろう)し、知らないゲームについて語られてもやはり興ざめしてしまう。よほどのゲーム好きでない限りはなかなか手が伸びにくい一冊かな、というのが正直なところ。
読了日:3月27日 著者:多根清史,阿部広樹,箭本進一
エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)感想
熱量もエネルギーも仕事も温度も圧力も体積も直感的に理解できる。だがエントロピーとはなんだ?定義式は熱量の差分を温度で割ったものがエントロピーの差分に等しい、という。定義式を丸暗記することは簡単だが、その物理的意味を理解し、自在に操れるようになる気がしまるでしなかった。本書はそんな学生時代の悩みに回答の一つを与えてくれる。何より、エントロピーをめぐる科学者たちの歴史部分が非常に面白い。叙情的な表現に鼻白むこともあったが、概ねあの表現はうまく本書の雰囲気に作用していたように思う。素晴らしい一冊。
読了日:3月22日 著者:鈴木炎
逆問題の考え方 結果から原因を探る数学 (ブルーバックス)逆問題の考え方 結果から原因を探る数学 (ブルーバックス)感想
入門書というにはなかなか読み応えのある一冊。自分が知っている逆問題の例は地表の揺れから震源地とマグニチュードを測定する地震計測システムだったが、逆問題の考え方がこれほど様々な科学分野で重要な位置についてることが新鮮な驚き。学生時代を振り返ってみれば、確かに机上の計算は順問題が多く、実験では逆問題に挑むことが多かったように思う。本書を読んでから改めて当時の実験をやってみればまた違う趣があるんだろうなあ。
読了日:3月19日 著者:上村豊
魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫)感想
今回も面白かった!血で血を洗う地獄絵図のなかを可憐で美しい魔法少女たちが決死の覚悟と力でもって突き進んでいく。めまぐるしく展開される物語は相変わらずのスピード感だし、随所で散りばめられた伏線がラストで回収されるのも快感の一言。もちろん、まだ明かされきれてない部分もあるけど、それは続刊のなかで少しずつ提示されていくのだろう。早く続きが読みたい!素晴らしい傑作だった!
読了日:3月13日 著者:遠藤浅蜊
魔法少女育成計画 limited (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 limited (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)感想
今回もまた血で血を洗う情け容赦のない魔法少女バトルが素晴らしかった!前巻ではキャラクター紹介の色合いが強く「いつもの育成計画らしくないなぁ」と感じたものの、後編を読めばそれが全く杞憂であることを知り大満足のエピソードでありました。このままJOKERSを読み進めるよ!
読了日:3月9日 著者:遠藤浅蜊
魔法少女育成計画 limited (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 limited (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)
読了日:3月4日 著者:遠藤浅蜊

読書メーター

最近読んだ本の感想をまとめてうp


案の定またしてもブログの更新間隔が空いてしまったので、
ここでまとめて更新。

■ヤバい統計学(カイザー・ファング)


総評:★★★☆☆(3点)

世の中には3つの嘘がある。
嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ。

こんな格言を残したのは19世紀のイギリスの政治家ベンジャミン・ディスレーリであり、そして統計の幻惑術を利用したノウハウ本や騙されないための喚起本など枚挙にいとまがない。

だが本書はそういった統計の悪しき側面を映し出した物では無く、
統計学者たちが努力と根性と気合いと努力(2回目)でもって勝ち得た統計学の勝利の記録だ。

発生した事件や問題に対して調査員たちがどのように戦いを挑んだか、
その戦いはどれだけ困難なものであり、それに立ち向かい、勝利を獲得した統計学者たちは
いかなる智慧と知啓と努力(3回目)で乗り越えたのか。
まさにこれは統計学者たちのプロジェクトXだ。

最近はビッグデータの恩恵で、データを解析するための統計学がもてはやされてるが、
この本は統計学の教科書ではないけれども、どのような場面で学問が応用されてるかを垣間見える良書でした。


■Story Seller 3


総評:★★★★☆(4点)

相変わらず質の高い短編集。

今回もまた各作家陣の作品はそれぞれの作家の特色がよく現れた傑作揃いだった。
個人的には湊かなえさんの「楽園」と、
米澤穂信さんの「満願」が好みだった。
これらは短編にするには勿体ないほど濃密で重厚な主題が込められており、
読後感もこれまた独特だ。

その他、近藤史恵さんの小説は相変わらずホモホモしいし、
佐藤友哉さんは相変わらず中二全開で浮きまくってるあたり安心できる。

そして本書にて初めてさだまさしさんの小説を読んだのだけど、
うん、まぁ、あれですね。
なかなか独特の構成の小説をお書きになるというか文体が極めてアレというか。
本書に米澤さんや湊さんの作品も一緒に収録されているから
総合的に高評価だったけど、さだまさしさんしか寄稿されていなかったら、
ちょっと本書に対する評価はもっとアレな感じになってたことは
否定できないようなそうでないような(どっちだ)


■嘘だらけの日米近現代史(倉山満)


総評:★★★☆☆(3点)

拝米主義に陥りがちな日本人意識へ一石を投じる意欲作。
「みんなアメリカにびびりすぎ!奴ら全然大したことねーぞ!」
という主義主張を全面に押し出した問題提起作であり、
著者のその姿勢には幾分か同調する部分もあるのだが、
いかんせん中身が偏りすぎているのがちょっと気になる。

例えば「第1次〜第2次大戦の国際社会におけるアメリカは第三諸国程度の、まったく取るに足らない国だった」というのはちょっと言い過ぎでしょう。
第一次大戦当時のアメリカは戦争に対して慎重で、
そんなアメリカを戦争に引き込みたくてイギリスが諜報活動により
機密情報漏れをメキシコのせいに見せかけるという戦術をとらせる程度には
アメリカは国際社会の中で戦力的に重要なファクターを占めていたと考えるべきかと。

まぁ第2次大戦当時のアメリカ、というよりもルーズベルトがクズだったことには異論を挟みませんけど。
ちょっとこの1冊だけを読んでそのまま鵜呑みにしてしまうのは危険かなぁ、と感じてしまった次第。


■戦争の常識(鍛冶俊樹)


総評:★★★☆☆(3点)

地政学から始まり、
そもそも歩兵とはなにか、戦車とは何か、
陸軍とは、海軍とは、空軍とは、
そして情報戦争や核戦争の行方は、
などなど、現代の戦争を構成する基本要素について非常にわかりやすくまとめられた良書。

結局のところ、現代の戦争って具体的にどんなもんなの?
とか、
何がきっかけで戦争になるもんなん?
とか、意外に知らない戦争のあれこれについて
基本的なことを知っておきたい、というときにうってつけの一冊でございます。

日中韓の関連を簡潔にまとめた良本「2014年!中国と韓国、北朝鮮の動きが15分でわかる本」

今後このブログはPostach.ioへ移行します。
しばらくは並行して更新しますが、お早めにPostach.ioへブックマークの変更をお願いします。




■中島孝志「2014年!中国と韓国、北朝鮮の動き15分でわかる本」



総評:★★☆☆☆(2点)

国際協定を無視して自国の利益を最優先し、周辺国を脅かし続ける中国。
日本・米国・中国の間でさまよい続け、いまだどの国へ尾を振るべきか決めあぐねる韓国。
そして一人の将軍の下で統率された……ようで統率されず、軍部の圧力を無視できぬトップが治める国、北朝鮮。

本書は日本の周辺にあるこれら隣国たちの、知っているようでよく知らない国内情勢や対外政策についてまとめられた本だ。

内容は非常にわかりやすくまとめられており、政治や経済について明るくない人でもすんなり読めるに違いない。
私も本書で初めて知ったことが多かった。
中国軍は共産党に属す「共産党軍」であることは知っていたが、これが各支部に別れており、各支部は中央北京政府からほぼ独立していて、政府(つまり共産党)の意向や指示に従わない、という話も初めて知った。
そして中国はもはや北朝鮮への発言力を失っており、米国などが北朝鮮の抑止として中国へ行動を求めているのはまったく意味が無い、というのも本書で初めて知ったことだ。

ただ残念なのは、これらの事象や解説について
「なぜそうなったのか」
「なぜ筆者はそのように考えたのか」
「どういった根拠があるのか」
という説明が希薄で、ひとつひとつの主張に疑問が残るのもまた事実。

とはいえ本書は非常に安価だし、また短く簡潔にまとめることを優先したために「根拠の説明」という"読者ウケしない”くだりは省いたのかもしれない。

もっとも、読者が疑問に思った部分は自分で調べれば良いし、何より非常にわかりやすくまとめられていることが非常に素晴らしい。

日中韓という地政学的に無関係になりえないこれらの国について、最近の情勢を知っておきたい、と思えた人にはおすすめだ。
何よりも安いし。

それは繁栄への標か、滅亡への徴か「ジェノサイド」

Postach.ioも更新してます。
今後はPostach.ioをメインに更新しようと思いますのでよろしくです。
しばらくは並行して更新します。




■高野和明「ジェノサイド」



総評:★★★★☆(4点)

このミステリーがすごい!2012で国内小説第一位を受賞した作品。
その肩書きに惹かれてハードカバーで購入してから早2年、このたびようやく読み終えた。

創薬に励む大学院生と、コンゴ共和国でアメリカの秘密作戦に従事する米国人傭兵。
本来であれば何の接点もなく出会いどころかすれ違うことすらなかったはずの二人が出会うとき、人類は進化と繁栄を続けるのか、それとも絶望と滅亡へひた走るのかという分水嶺へとさしかかる。

本書は二人の人物を主軸に物語を展開していく。
一人は日本の大学院生。謎に満ちた父親の死、遺されたパソコン、奇妙な手紙と、そこに書かれた父からの遺言「誰にも話すな、一人だけでやり遂げろ」。
もう一人はアメリカ人傭兵。難病に冒された息子、必要な治療費、それでも徐々に消えようとしている小さな命の灯火、アメリカからの奇妙な作戦命令、内容は「見たことのない生物を殺せ」。

二人の主人公は、自分がいま何をしているのか、自分がやろうとしていることに何の意味があるのかすらわからぬまま、ただ行動に移すことを求められる。
だが物語が進むにつれ、彼らは思い知ることになる。
自分が何をなそうとしているのか。何をやらされようとしているのか。そしてその裏に潜む恐るべき謀略の影を。

テンポの良い物語構成と先を読ませぬ展開は、読者を物語世界へどっぷりと引き込ませること間違いない。
美しい友情も、儚く幼い命の灯火も、それを救うために燃やされる情熱も、吐き気を催すほどの醜悪さも、人間の美しさとおぞましさがこの一冊の中で切実に描写されている。

ただ他の書評でも書かれているように、本書では少々反日・反米思想が過ぎているように感じた。
人によってはこの思想に違和感を感じることもあるだろうが、そういった思想は脇に追いやって、単純に物語だけを楽しむことをおすすめする。

久々に物語へ没入する感覚を味わうことができた。
おすすめ。

アルゴリズムに潜む人類の叡智を知れ「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」

Postach.ioでも更新してます。そちらもどうぞよろしく〜。




■ジョン・マコーミック「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」


世界で初めてコンピュータが発明されたのは1946年のことだが、依頼60年以上の年月をかけて、コンピュータは世界中の人々に使われて、先進国だけでなく途上国においても重要な存在となっている。
コンピュータは外来語だが、もしこれを無理やり日本語にしようと思えば「計算機」という表現が一番しっくりくるが、実は「計算機」と「コンピュータ」の間には余りに大きな隔たりがある。

「計算機」とは読んで字のごとく、「計算」しかしない。
例えばそれは3桁の掛け算であったり、あるいは数桁の足し算であったりする。
そう、計算機とは読んで字のごとく「計算する機械」であり、それ以上でも以下でもなかった。

これに革命をもたらした人物こそイギリスの天才数学者アラン・チューリングである。
彼は「チューリング・マシン」という仮想計算機を打ち立て、そのなかで「コンピュータ」というものを「プログラム可能な計算機」として発明した。
いわゆる「ソフトウェア」という概念の発明である。
こうして彼は「プログラム」という形の命令系統をコンピュータに施すことで、文字通り不眠不休で24時間働きつづける「機械」に、様々な計算をさせることに成功した。これがドイツ軍のエニグマ暗号機の解読に役立てられたことは非常に有名だ。

さて、アラン・チューリングに端を発するコンピュータとソフトウェアの歴史の中、これほどコンピュータが世界に浸透したのはソフトウェアの力に他ならない。
そして世界に革命をもたらしたあらゆるソフトウェアのなかで、もっとも重要であり革新的なアルゴリズムを紹介しているのが本書だ。

前置きが長くなってしまったが、本書はIT系に通じてない人に向けて書かれた本だ。
銀行のATMから安心してお金を引き出したり預けたりできるのは、どういったソフトウェアの力が働いているのか?
わからないことをインターネットで検索することをネットスラングで「ググる」とまで呼ばれるほどGoogleの検索機能は優秀だが、この飛び抜けて優秀なGoogleの検索機能はどんなソフトウェアが動いているのか?
Amazonで買い物したり、インターネットでチケットを購入したりと、インターネットでクレジットカードを使用する場面は非常に多いが、なぜ私たちは安心してクレジットカードを使うことができるのか?この情報は誰かに盗聴される心配はないのか?
本書はこういった「コンピュータ」を使ううえでの素朴な疑問に答えてくれる。

重ねて言うが、本書はIT系に通じてない人に向けて書かれた本だけに、内容は非常にわかりやすく、丁寧に解説されていて凄くわかりやすい。
特に公開鍵暗号の説明をするくだりでは、公開鍵と秘密鍵の関係を「ぐちゃぐちゃにまぜたペンキ」に例えるなど斬新な解説で、非常に興味深い内容だった。

だがこれもあくまで初心者向けの解説であり、私のようなIT産業に従事する人種からすると、少々退屈な内容だったことは否定できない。

IT系の技術者であれば、本書に書かれていることは必ずどこかで耳にしたことのある内容だと思う。
だが普段からあまりコンピュータの内部仕様などに意識を傾けない人にとっては、本書の内容はとても興味深いに違いない。

難しい技術も巧みなたとえ話で説明する筆者の手腕は見事の一言だ。
もし上記の「コンピュータの素朴な疑問」に興味を抱かれたならば、本書を手に取ってみるのも良いかも知れない。

最近読んだ本の感想をダダ漏れ

Postach.ioでも更新してます。どうぞよしなに。




それはそうと、最近読んだ本を気ままに感想〜。

■サイモン・シンの「暗号解読」
 
ある詩人は言った。
「秘密は刃物と一緒だ。子供と愚か者に持たせると大変なことになる」

秘密とはとても魅力的であり、人の興味をひいてやまない。
だがそれが個人のものであれば単なる「興味深い」ものでしかないが、それが団体、とりわけ国家のものとなれば話は違ってくる。
何万人もの生命が関わるだけでなく、その後の人類の歴史にすら影響を与えかねない。
だからこそ人類は秘密を守るための技術、すなわち暗号を発明した。

本書は暗号の歴史について書かれた本だ。
それは同時に、秘密を守るために奮闘した人々、そして秘密を暴くために奔騰した人々の戦いの歴史でもある。

本書で描かれる暗号の戦いは非常にエキサイティングだ。
暗号によって守られていた人々と、その守護を粉々に打ち砕き、ひとつの国家の歴史を大きく変えてしまった解読者。
本書で描かれる、暗号の歴史の裏で繰り広げられた人間の血なまぐさい戦いはまさに戦争と呼ぶほかない。
暗号を解かれたがゆえに殺された人、国家を追われた人、そして敗北し蹂躙された国たち。
暗号の歴史とは戦争の歴史であり、それはすなわち人類の歴史でもある。
そのことを本書は生々しく描き、表現していて、読みながら鳥肌を抑えられぬほどだった。

では本書は暗号に携わった人々を描いただけで、暗号そのものには言及していないのかというと、そんなことは決してない。
暗号の専門書ではなく、素人向けに書かれた本であるにも関わらず、これほど仔細に暗号技術について書かれた本は他に見たことがない。
訳者はあとがきで以下のように述べている。

「仮にタイムトラベルで二十世紀初めに戻ったとして、これを読んでおけば自力でエニグマ機を組み立てられるのではないかとまで思わされた本は本書だけだ」

暗号の技術、暗号の歴史、そして暗号に関わった人々の奮闘を本書は血の通った文章で鮮烈に表現している。
本当に面白かった。
非常にオススメです。


■賀東招二の「甘城ブリリアントパーク3巻」


今回も2巻と同様、ブリリアントパークの面々が織りなす日常の風景をふわふわと描いた掌編集。
とはいえ、ふわふわ感で言えば2巻のそれよりもさらにふわってる。
2巻はそれでも経営に関する覚悟や売上、そして事業売却などの話題が上がっていたものだが、今回は本当にそういったギスギスした話はなりを潜め、始まりから終わりまでふわふわとして終わった。
なんつーか、フルメタルパニックの日常パートを読んでる感じ。
いや、こういうお話も大好物なのでどんどんやって欲しいしむしろいすずの出番を増やしてほしいというかちちしりふとももー!(本音)
とにかく僕もアニメ化が待ち遠しいです。主にちちしr(ry


■夏海公司の「なれる!SE11巻」


今回は我らが主人公のデスマーチっぷりはなりを潜めて、買収した企業の管理業務を任される。
相変わらず社会人1年目の新人に任せるにはあまりに無茶ぶりな展開に胃が痛くなることしきりだが、そこはさすが電撃文庫、ラノベの主人公らしいチートっぷりを見せつけて見事に問題を解決してくれる。
いや、今回の問題解決は彼のチートぶりというよりも女衒ぶりが発揮されたと言うべきか。
つーか彼の女衒ぶりは日本人だけでは飽き足らず西欧女子まで毒牙にかけるのか。
おのれ工兵。1人よこせ(本音)


■師走トオルの「現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと」


セガファンのセガファンによるセガファンのためのラノベ!
これ以外に表現できようか。
てゆーかこれ以外の言葉が見つからない。
もちろん各キャラは可愛らしいしイラストも愛らしいしラノベの抑えるべき所はしっかり抑えた底堅い作りになってますが、まーゲームにあまり興味無い人にとっては面白さを感じることはできないかもしれませんね。
ニコ動のパロディとか普通に入ってくるし。
まぁ第○次ゲーム機大戦の動画を面白おかしく見られる人であれば、本作品も楽しく読めると思うのでおすすめ。
ちなみに個人的にはサターンが好みです。黒髪ロングは正義すぴー(鼻息)

あまりにも眩しい初恋の物語『東雲侑子は短編小説をあいしている』

最近、ブログのコメント欄がよく荒らされるので、そろそろ移行しようかなぁと思ってた矢先、
Evernoteのブログサービス「Postach.io」というものを知ったので、こちらへ移行したいなぁと思ってます。
まだ移行先は寂しいデザインだし、しばらくは並行更新したいと思いますが、どうぞよろしくです。




東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)
(2011/09/30)
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東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる (ファミ通文庫)東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる (ファミ通文庫)
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東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)
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森橋ビンゴ

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小説とは、ありもしない体験を、あたかも自分が経験してきたかのような錯覚を覚えさせてくれる一種の空想具現装置だ。
いや、幻想や妄想を共有するという意味では、これは麻薬とでも呼んだ方が良いのかもしれない。

何をおおげさな、とあなたは言うだろうか?

だが私にとってこれは大げさでもなんでもない。
本書を読んでいる間、私は間違いなく主人公たちふたりの息づかいを感じていたし、彼らの思考や不安、幸福感を共有できていたと思える。
そして私は思いを馳せるのだ。かつて自分自身が抱いたことのある淡い思いや、そのときに感じたあまねく感情のひとつひとつを、まるで昨日のことのように思い起こし、やがて──己にはもうこのような感情を抱ける体力は残されていないのだと思い知らされる。

森橋ビンゴの『東雲侑子』三部作。
本書はまさしく麻薬であり、読者の思い出を強く強く刺激してくる入魂の一作である。


ここで描かれている物語は、何てことの無い、ただの高校生たちによるボーイ・ミーツ・ガールだ。
少年と少女が出会い、互いを気にかけ、恋に落ちる。
あらすじを言ってしまえばただそれだけだ。
世界は滅びないし、隣家に異世界の魔王や勇者が引っ越してきたりしないし、宇宙からやってきた美少女によるハーレムが築かれることだってない。
ごくごく普通の男女が(ヒロインだけちょっと特殊かも)偶然の出会いを通じ、互いに惹かれ合う。
ただそれだけ、本当にただそれだけの物語が、あまりにも美しく輝いて見える。

「図書委員で一緒になった、ちょっと変わった女の子」から、「少し気になる女の子」へ変わっていく描写はあまりにも鮮烈だし、それがやがて「気がつけばいつでも彼女のことを考えてる自分」に気がつかされるくだりはもう見事と言うほか無い。
その絶妙な心理描写や心境の変化が、技巧的でありながらも実に繊細なタッチで表現されている。

主人公を囲む人物も個性的だ。
小さいころから出来が良くて、コンプレックスを抱かされ続ける兄。
その兄の恋人で、同時に主人公の初恋の女性。
そして、ヒロインである東雲侑子。

主人公は、彼ら身近な人々の間で心を揺り動かし、そして、大いに悩むのだ。
その悩みはあまりに初々しく、微笑ましくて、だけどどこか羨ましい。
私のようなおっさんではもう体験できない、どこまでも青臭い、だけど透き通るような甘酸っぱい感情を、主人公は全身全霊で受け止め、悩み、足掻くのだ。

自分の胸奥に渦巻く感情は、本当に恋なのだろうか?
彼女は本当は自分のことなど何とも思ってないのでは?
むしろ出来の良い兄の方へ好意を向けているのではないか?
そしてなにより、自分はいったい、彼女とどうなりたいのだろうか──?

誠実でありたいと臨むからこそ空回りして、
彼女に嫌われたくないと思うからこそ行動にうつせなくなる。
そんな、誰もが通ってきた若かりし頃の甘く切ない思い出の道を、主人公はまさにいま、全力で駆け抜けていく。
少年は悩み、悶々として、鬱々としながら、でも最後には己の気持ちを真正面から見つめ直して、ついにヒロイン東雲侑子へ告げるのだ。

その後の展開は、もはや語るまでもないだろう。だってライトノベルだもの。辛く悲しい展開など待ってるはずもない。

そしてシリーズは嵐のような2巻と、決断の3巻へ続き、そこでフィナーレとなる。
主人公である三並英太と、ヒロインである東雲侑子。
出会ってから3年間、ずっとふたりでいっしょに成長してきた彼らが迎える結末は、あまりに悲しく、寂しくて、だけれど尊い。
そう感じさせてくれる、清々しいほど気持ちの良いフィナーレなのだ。

正直、私は3巻を読み終えるのが辛かった。
もっとふたりの幸福な時間を読んでいたいと、そう思っていた。
だが3巻のあとがきで「東雲侑子の物語はこれで完結である」とはっきり宣言されている以上、もうこれ以上の物語体験は望むべくもないのだろう。

だが、これだけははっきりと言える。
本書は間違いなく傑作だ。
初恋の甘さと苦みを味わってみたい人にも、
自身の初恋の思い出を切なく思い返したい人にも、
そしてもちろん、ヒロイン東雲侑子の可愛らしさにどっぷり浸かりたい人にもお勧めだ。

まだ2014年は始まったばかりだけど、今年中にこれを越えるほどの作品に出会える気がしない、それほどの衝撃を与えてくれた小説でした。
本当に、おすすめです。

奔騰する青春の血流に身を委ねる名短編集「OUT OF CONTROL」

OUT OF CONTROL (ハヤカワ文庫JA)OUT OF CONTROL (ハヤカワ文庫JA)
(2012/07/20)
冲方 丁

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冲方丁のOUT OF CONTROLを読んだ。面白かった。

SF作家でありライトノベル作家であり時代小説作家でもある、
非常に多彩な才能をもつ現代を代表する作家・冲方丁の初(?)となる短編集。

その内容はさすがの一言だ。
明言こそされてないものの、著者の少年期の体験を綴ったと思しき「スタンド・アウト」は、
思春期特有の尖った不安定感が存分に表現されていて、
少年が抱く世界すべてに対する不満や不安、それでいて煮え立つような熱情の猛りが
読んでるこちらにぎんぎんと伝わってくる。
たった30ページの物語の中で、主人公はある体験を通じ親友と劇的な成長をするが、
このときの描写はまさしく冲方丁独特の言い回しと表現力でもって
鮮烈な一場面として見事に描かれている。
この1編を読むためだけでも、冲方丁ファンはこの本を購入する価値があろうというものだ。

だが本当に素晴らしいのは、2編目の「まあこ」だ。
これは圧倒的である。
冲方氏としては珍しいホラー短編となる本編だが、
まさしく背筋を怖気が走るような恐怖を味わえること請け合いだ。
仕事も出世も恋もすべて順調な主人公が、
たったひとつの友人からの依頼からガラガラと奈落へ落ちていく様は本当に恐ろしい。
本編は「異形コレクション 妖女」に収録された短編だというが、
まさに「妖女」という主題に相応しい恐怖が体験できる。

ただ、一点だけ注意すべきことがある。

もしこれから本書を読もうとしている方の中で、
まだ冲方丁氏の「天地明察」を読まれてない方がいらっしゃるとしたら、
本書に収録されている「日本改暦事情」なる短編は絶対に読まない方が良い。
「日本改暦事情」はまさしく天地明察のダイジェスト版ともいえる短編で、
作者が天地明察を執筆する数年前に著した短編なのだ。
なのでこの短編を読んでしまうと天地明察の素晴らしい物語の味わいを
完璧には体験できなくなるので、ぜひご注意されたい。

その一点にさえ注意できれば、冲方丁入門書としておすすめできる秀作でした。

おすすめです。
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