2015年11月の読書まとめ
2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:1471ページ
ナイス数:104ナイス
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/3 号 [国連の限界]の感想
国連の無力さは確かに以前より感じてはいた。国際紛争を解決する国連軍は、多国籍軍によって解決される場合が多いし、国連による非難も当該国に届かないことが多い。それでは国連に意味がないのかといえばそうでもなく、国連から脱退するということは国際社会から孤立することを意味しており、いわば国際社会の社交界のような場所と思えば良いのかもしれない。社交界そのものは何も問題を解決してくれないけど、そこに行かねば社会で孤立するだけなのだ。期待してはならないが、軽んじてもいけない、それがいまの国連なのかもしれない。
読了日:11月2日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/10 号 [アメリカvs中国]の感想
日中南シナ海の攻防が特集のテーマ。南シナ海への進出という強烈な野心を隠そうとしない中国と、遅きに失した行動しかとれぬアメリカの思惑。火薬庫とまで表現されてしまうほど非常に緊迫した状況ではあるが、中国もアメリカも経済的に非常に強固に結び付けられた関係なので、戦争という最悪の事態には結びつかないと考えられるが、実際に影響を受けるベトナム、インドネシア、マレーシアあたりが冷静な態度で居られるかが問題の肝になりそう。第一次大戦でもプリンチェプという一青年が皇太子を暗殺したことがきっかけだったしね。
読了日:11月8日 著者:
戦術と指揮―命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)の感想
戦術というものを基礎から解説し、後半は全てシミューレンション問題にあてられるという斬新な構成がされた本。自分は戦術についてはまったくの素人だし、迫撃砲隊と戦車隊は何が違うのかいまいちピンとこないけど、それでも本書後半のシミューレンション問題は抜群の面白さだ。原則に基づき、敵の動きを予測し、合理的な判断を下す。ときに大胆に、しかし代替案を選択できる余地を確実に残せる行動を選択していく。体力のいる読書だったけど、まったく新しい読書体験をさせてくれた良書でありました。
読了日:11月8日 著者:松村劭
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/17 号 [大統領選に異常あり]の感想
短い特集ではあったが、難民ビジネスの極悪さはまさしく地獄という他ない。決死の覚悟で何千キロも逃げてくれば、そこで難民収容施設に閉じ込められる。難民認定書が数日で発行されるというので信用していれば、数ヶ月経っても音沙汰なし。実際には難民に支払われる支給金がすべてマフィアに渡っており、彼らは半永久的に劣悪な施設に閉じ込められる。子供は倉庫に監禁され、欧州に逃げ延びるまでに何人もの友人と死に別れ、女性は例外なくレイプされる。地獄そのものだ。
読了日:11月13日 著者:
ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるかの感想
バカバカしい質問に対し、元NASAの技術者が科学と数学と持ち前のユーモアで、ときにあっと驚く、しかし皮肉に満ちた答えを導き出す科学書。雰囲気としては20年ほど前に大流行した空想科学読本のノリに近い。こういう本を読むと科学や数学の面白さを再認識させてくれる。数学や物理学とは、見えないほど小さく、触れないほど熱く、途方もない未来や遠距離にあるものであっても、どんなことがおこるかをある程度の正確さで予言できてしまう学問なのだ。これから進路を考える学生にも、勉学から離れてしまった社会人にもお勧めできる良書。
読了日:11月16日 著者:ランドール・マンロー
いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)の感想
いつかパラソルの下でを読書中。率直に言って、自分にはこういう本は合わないことがわかった。人の日常生活にこそ人間の本性と真実があると言えば聞こえは良いけど、私にとって本書は、他人の家の家庭事情を覗き見してるような気がしてならず、読んでいる間どうにも居心地の悪い思いが消えなかった。とは言え心理描写や叙情的な表現は見事なものだし、男性の性もそれはそれはよく表現されてるので、こういう本が好きな人は好きかも。
読了日:11月19日 著者:森絵都
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/24 号 [スー・チーは聖人か/フランス・厳戒態勢でも防げなかったパリのテロ]の感想
もしかしたら今週は緊急特集としてパリのテロが記載されるかと期待してたのだけど、さすがにそれは無理だった模様。今週の特集は圧倒的な得票差で圧勝し政権交代を実現したアンサンスーチー女史。この事実は確かにミャンマーにとって歴史的転換点のひとつかもしれないが、本書が指摘する通り既存の軍事政権が彼女に権力を大人しく引き渡すわけもなく、これからは「軍の政権運営に口を出せるようになった」程度のものなのだろう。それでも大きな一歩であることに違いはないが、30年前のクーデターが起きないとも言えないことを考えれば油断は禁物。
読了日:11月21日 著者:
エレンディラ (ちくま文庫)の感想
どこか陰鬱としながらもひとひらの不思議が世界に花咲く、そんな物語。しかし物語の実にあるのはまさしく人間賛歌そのものであり、か弱く儚いと思っていた少女も図抜けた強さを秘め持ち、歯向かうものすべて破壊せしめんとする男にも意外なほど弱々しい心底が隠されてたりと、人という生き物の真相、本質を抉り出している。主題にもなっているエレンディラの「もう嫌、許してお祖母様」という叫びは、まさしく未成年が大人に搾取される悲劇そのままの表現であり、恐るべき運命、恐るべき悲劇を文字通り体現している。良書。
読了日:11月24日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
日本版ニューズウィーク [雑誌]の感想
当然というべきか、今週はパリのテロ事件特集。先進国が狙われた大規模なテロ事件として911と比較されてるけど、結局あのときから歴史は何も変わってない、という論調があまりに物悲しい。むしろアルカイダに比べ経済力・組織力・支配地域力でさらに危険度を増したISISが相手であり、しかもEUへの難民流入や容易な国境越えが事態をさらに複雑化していることを考えると、暗澹たる気持ちになる。果たしてこの事件が歴史の分水嶺になるか。
読了日:11月28日 著者:
とある飛空士への誓約〈1〉 (ガガガ文庫)の感想
飛空士シリーズ完結の報を受け、数年前に購入済みの一巻をこのたび読書。さすがは犬村氏、と唸ってしまう構成力に脱帽です。恋歌のときのようなダラダラしたプロローグが延々と続くようなことはなく、すぐさま迎える危機、危機、危機。士官候補生たちにこれでもかと襲い掛かる試練の数々にページを捲る指は一切止まりませんでした。しかしこれでも、まだ物語は始まったばかり。これからの展開にワクワク感満載です。ここからいっぺんに読んでいくよ!
読了日:11月30日 著者:犬村小六
読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:1471ページ
ナイス数:104ナイス
![Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/3 号 [国連の限界]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51SRn2qjU2L._SX100_.jpg)
国連の無力さは確かに以前より感じてはいた。国際紛争を解決する国連軍は、多国籍軍によって解決される場合が多いし、国連による非難も当該国に届かないことが多い。それでは国連に意味がないのかといえばそうでもなく、国連から脱退するということは国際社会から孤立することを意味しており、いわば国際社会の社交界のような場所と思えば良いのかもしれない。社交界そのものは何も問題を解決してくれないけど、そこに行かねば社会で孤立するだけなのだ。期待してはならないが、軽んじてもいけない、それがいまの国連なのかもしれない。
読了日:11月2日 著者:
![Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/10 号 [アメリカvs中国]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51V2ADCdvKL._SX100_.jpg)
日中南シナ海の攻防が特集のテーマ。南シナ海への進出という強烈な野心を隠そうとしない中国と、遅きに失した行動しかとれぬアメリカの思惑。火薬庫とまで表現されてしまうほど非常に緊迫した状況ではあるが、中国もアメリカも経済的に非常に強固に結び付けられた関係なので、戦争という最悪の事態には結びつかないと考えられるが、実際に影響を受けるベトナム、インドネシア、マレーシアあたりが冷静な態度で居られるかが問題の肝になりそう。第一次大戦でもプリンチェプという一青年が皇太子を暗殺したことがきっかけだったしね。
読了日:11月8日 著者:

戦術というものを基礎から解説し、後半は全てシミューレンション問題にあてられるという斬新な構成がされた本。自分は戦術についてはまったくの素人だし、迫撃砲隊と戦車隊は何が違うのかいまいちピンとこないけど、それでも本書後半のシミューレンション問題は抜群の面白さだ。原則に基づき、敵の動きを予測し、合理的な判断を下す。ときに大胆に、しかし代替案を選択できる余地を確実に残せる行動を選択していく。体力のいる読書だったけど、まったく新しい読書体験をさせてくれた良書でありました。
読了日:11月8日 著者:松村劭
![Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/17 号 [大統領選に異常あり]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/517btzabGhL._SX100_.jpg)
短い特集ではあったが、難民ビジネスの極悪さはまさしく地獄という他ない。決死の覚悟で何千キロも逃げてくれば、そこで難民収容施設に閉じ込められる。難民認定書が数日で発行されるというので信用していれば、数ヶ月経っても音沙汰なし。実際には難民に支払われる支給金がすべてマフィアに渡っており、彼らは半永久的に劣悪な施設に閉じ込められる。子供は倉庫に監禁され、欧州に逃げ延びるまでに何人もの友人と死に別れ、女性は例外なくレイプされる。地獄そのものだ。
読了日:11月13日 著者:

バカバカしい質問に対し、元NASAの技術者が科学と数学と持ち前のユーモアで、ときにあっと驚く、しかし皮肉に満ちた答えを導き出す科学書。雰囲気としては20年ほど前に大流行した空想科学読本のノリに近い。こういう本を読むと科学や数学の面白さを再認識させてくれる。数学や物理学とは、見えないほど小さく、触れないほど熱く、途方もない未来や遠距離にあるものであっても、どんなことがおこるかをある程度の正確さで予言できてしまう学問なのだ。これから進路を考える学生にも、勉学から離れてしまった社会人にもお勧めできる良書。
読了日:11月16日 著者:ランドール・マンロー

いつかパラソルの下でを読書中。率直に言って、自分にはこういう本は合わないことがわかった。人の日常生活にこそ人間の本性と真実があると言えば聞こえは良いけど、私にとって本書は、他人の家の家庭事情を覗き見してるような気がしてならず、読んでいる間どうにも居心地の悪い思いが消えなかった。とは言え心理描写や叙情的な表現は見事なものだし、男性の性もそれはそれはよく表現されてるので、こういう本が好きな人は好きかも。
読了日:11月19日 著者:森絵都
![Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 11/24 号 [スー・チーは聖人か/フランス・厳戒態勢でも防げなかったパリのテロ]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51jkHH7zIuL._SX100_.jpg)
もしかしたら今週は緊急特集としてパリのテロが記載されるかと期待してたのだけど、さすがにそれは無理だった模様。今週の特集は圧倒的な得票差で圧勝し政権交代を実現したアンサンスーチー女史。この事実は確かにミャンマーにとって歴史的転換点のひとつかもしれないが、本書が指摘する通り既存の軍事政権が彼女に権力を大人しく引き渡すわけもなく、これからは「軍の政権運営に口を出せるようになった」程度のものなのだろう。それでも大きな一歩であることに違いはないが、30年前のクーデターが起きないとも言えないことを考えれば油断は禁物。
読了日:11月21日 著者:

どこか陰鬱としながらもひとひらの不思議が世界に花咲く、そんな物語。しかし物語の実にあるのはまさしく人間賛歌そのものであり、か弱く儚いと思っていた少女も図抜けた強さを秘め持ち、歯向かうものすべて破壊せしめんとする男にも意外なほど弱々しい心底が隠されてたりと、人という生き物の真相、本質を抉り出している。主題にもなっているエレンディラの「もう嫌、許してお祖母様」という叫びは、まさしく未成年が大人に搾取される悲劇そのままの表現であり、恐るべき運命、恐るべき悲劇を文字通り体現している。良書。
読了日:11月24日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
![日本版ニューズウィーク [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/31sqkz1DZpL._SX100_.jpg)
当然というべきか、今週はパリのテロ事件特集。先進国が狙われた大規模なテロ事件として911と比較されてるけど、結局あのときから歴史は何も変わってない、という論調があまりに物悲しい。むしろアルカイダに比べ経済力・組織力・支配地域力でさらに危険度を増したISISが相手であり、しかもEUへの難民流入や容易な国境越えが事態をさらに複雑化していることを考えると、暗澹たる気持ちになる。果たしてこの事件が歴史の分水嶺になるか。
読了日:11月28日 著者:

飛空士シリーズ完結の報を受け、数年前に購入済みの一巻をこのたび読書。さすがは犬村氏、と唸ってしまう構成力に脱帽です。恋歌のときのようなダラダラしたプロローグが延々と続くようなことはなく、すぐさま迎える危機、危機、危機。士官候補生たちにこれでもかと襲い掛かる試練の数々にページを捲る指は一切止まりませんでした。しかしこれでも、まだ物語は始まったばかり。これからの展開にワクワク感満載です。ここからいっぺんに読んでいくよ!
読了日:11月30日 著者:犬村小六
読書メーター
スポンサーサイト