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ゆっくり金田一感想文


ゆっくり保管庫

何つーか一度見てしまうと脳裏に焼き付いてしまう呪いじみた魅力
ゆんゆんと放ち続けているゆっくりシリーズですが、
これほど沢山のバリエーションがあったんですね。

んで保管庫の各種絵を見ていると、
何やら新種のメタモルフォーゼか、
そうでなければ錯視絵でも見せられてるんじゃねーかという不安を抱くこともあるのですけど、
そんな魑魅魍魎の中でも際だった異彩を放っているのが半霊。
つかこれほどまでにキモキモい幽霊なんて初めて見たわ。



【読書感想文】

本陣殺人事件


溝正史の「本陣殺人事件」を読んだ。面白かった。

ド変態仲間のマユさんがもう凄い勢いではまり続けているために、
彼女のサイトなどを見て思いっきり影響を受けてしまったオイラは
早速本作をamazonで注文、そして読了。

何つーか、言葉にできない。

この本は3つの中編小説からなるオムニバス小説になっているのですが、
表題にもなっている「本陣殺人事件」のトリックの見事さ、
恐ろしい疑心から、心身共に疲弊していく様が余りにも痛々しい「車井戸はなぜ軋る」、
そして戦後間もない昭和の空気が何ともおどろおどろしい「黒猫亭事件」、
どれもこれも緻密なプロットと衝撃的なトリック、
そして昭和独特のどこか土臭い空気と、
血縁による憎悪が生み出す因果などなど、
活気という言葉からは程遠く離された退廃的な雰囲気が終始漂う、
何とも言えぬ読後感を残してくれる小説でありました。

どの編も一筋縄ではいかぬトリックに彩られ、
そしてそれらを理詰め一本で解決してみせる耕助の口上は正に見事の一言で、
クライマックスに近づけば近づく程、
読み止めることなどできない、
暴力的とも言える圧倒的な魅力に束縛されてしまうのです。

で、これほど素晴らしい小説なんですけど、
最後の最後、黒猫亭事件で思いっきりズッコけた。
いや、何つーか、俺の錯覚とかでさえなければ、
この恐ろしい事件の中で一人すげぇホモが出てきたんですよ。

んでそのホモっつーのがですね。
建設業者を営んでいる風間ってやつなんですけど、
愛人とか何人も囲っていて、その数たるや5号6号当たり前、
そんな愛人の一人に料亭の女将をやらせてるのですが、
あろうことかその愛人に耕ちゃんの世話をさせてるんですよ。

つか女を自分が購入したマンションなどに囲う社長っつーのは
ステレオタイプの社長像みたいな感じでよく聞きますけど、
男を囲って、しかもその男を愛人に世話をさせる社長なんて初めてだ。

どんだけこの愛人を馬鹿にしてるんだっつー話なんですけど、
この愛人の悲惨さを如実に表しているのが、愛人初登場のシーン。

久々に風間が料亭に来たときのことです。
そのとき愛人の女性はちょうどお風呂に入っていてですね、
久しぶりに風間が来てくれたっつーことで、
着るモノもとりあえず、まさに半裸状態で風間を出迎えたっつーのに、
風間から出たのは

「耕ちゃんはいるか!?」

この一言。
これ。
これですよ。
もうね。愛人としての立場がボッキボキ。
つか風間も、お前どんだけホモホモしいんだっつー話なんですけど、
そんな風間のラブ光線に対して満更でもなさそうな耕ちゃんの笑顔がまた苦しい。

ジャンプが生んだ平成の名作・るろうに剣心では、
剣心が葵屋での宿泊費用をじじぃに請求されてましたけど、
この風間の溺愛っぷりを見ていると、
体で払う他ないくらいに宿泊費用が溜まっていくのを待ち続けているようにしか思えなくなってくるから不思議なもんです。

まぁ何はともあれ、昭和のあの時代に
これほど洗練されたBL小説を生み出した溝氏の先見の妙たるや戦慄を禁じ得ないわけですが、何はともあれ時代を先取りしすぎたホモホモ小説を読みたい御仁は是非に読んでみれば良いと思います。





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桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」感想

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を読んだ。面白かった。

桜庭さんといえば「私の男」で直木賞を受賞したことで有名ですが、
巷の桜庭さんレビューを見ますと
最初に読むべきはこの「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」である、
との見解が四方で散見されたため、早速購入、そして読了。

何とも言えぬ、哀愁と感傷に満ちた物語でありました。

物語はただただ、
転校してきた謎の美少女・藻屑と、
主人公・なぎさの心のぶつけ合いのみから成ります。

藻屑の抱く孤独と痛み、
なぎさの抱く憐情と不安、
彼女たちはそれぞれの悩みと苦痛に懊悩し、
そして相手の痛みを少しでも和らげてあげようと、
不器用な優しさで、でも確かな情をもって、
傷口に触れるようなそろそろとした手つきで、
互いの心を理解し、不安を除き、流れる涙を拭ってあげようとするのです。

安寧、平穏、安心。
そんな穏やかな静謐とはかけ離れた生活を余儀なくされた彼女らにとって、
何でもない安らぎを得られる生活は、
途方もなく遠く、一種の憧れとも言える理想の生活でした。

そして藻屑にとってはなぎさと一緒にいることが、
なぎさにとっては藻屑と一緒にいることが、
少なからず彼女らの心に僅かな、本当に微かな、
しかし確かな充足を得られる、貴重なひとときとなったのです。

将来、進学、家族、親、恋、友情。
思春期の少年たち特有の問題を、
彼女らはある時は真正面から、ある時は目を反らしながら、
しかし最後には何かしらの決着をつけようと、
心を痛め、血を流し、そして互いを労り合って、
細く小さな体を引きずりながら、
それでも少しずつ悩みと不安の壁を乗り越えようとしていくのです。

悲嘆、哀切、悲哀、愁嘆、悲劇、悲痛、哀惜。
この物語を表現できる言葉の数々。
そして慟哭のエンディングへひた走るクライマックス。
この物語を表現する言葉は陰鬱なものしか思い浮かべられないけど、
それでも彼女らが最後に抱いた想いは、
不確かな将来に対して、曖昧だけれど、
それでも想いを託すに充分な希望と安寧が待っていたのだと、
そう思わずにはいられないのです。


面白かった。本当に面白かった。

これほど哀愁漂う物語というのもなかなか珍しいですけれども、
ただそれだけではなく、
情景の描写も本当に素晴らしいものでありました。
たとえば、これ。

蒸し暑い夕方だった。虫の音色が聞こえてくる。舗装していない道の向こうに陽炎がぼんやりと浮かび上がっている。山からは藁を暖めたような土臭くて生温かい香りが漂ってくる。土と、葉と、湿気の醸し出す香りだ。

蒸し暑い残暑の夕方を表現するのに、
「香り」を織り交ぜてくる作家さんて実は凄く珍しいのですよ。
これが「海」や「山」であれば、
潮の香りや山の空気などで香りを表現する人もいますけど、
何気ない田舎の下校道において、
すとんと香りを違和感なく織り交ぜてくる桜庭さんの感性は、
実に素晴らしく、ここを読んだときに思わず感嘆のため息をついてしまったほど。

それから、これ。
悲しみが襲いかかってきたので、振り払って、歩いた。校門をくぐり、舗装されていない田舎道を早足で歩いた。古いアスファルトがところどころ砕けて、盛り上がって、その下から雑草が顔を出していた。あたしは、こんなふうに図太く生きられたらいいのに、と思いながら雑草を軽く踏んでみた。ぜんぜん平気そうだった。

少女の悲しみと苦悩や苛立ちを、
ささくれ立った心を自発的に表現させるのではなく、
あくまで少女の行動でもって、
少女の不安定な心情を表現しきった、素晴らしいくだりではありませんか。

そしてもっとも美しい描写が、これ。
蜷山がいつもより大きく見えた。太陽がぎらぎらと照りつけていた。稲穂は青々と茂って、時折吹く風に寝かされてそこだけ色を濃くしている。まるで姿の見えない巨人が通り過ぎていく足跡みたいに、ところどころ色が変わっていく。

何と美しい情景描写でしょう。
肌を焼くような陽光と、それを冷ましてくれる心地よい風、
そして風に揺られる稲穂が奏でる、サァ、という軽やかな音楽までもが、
いままさに聞こえてきそうな文章ではありませんか。

広大な田んぼの端から端までを流れていく、色の濃い緑色の波。
それらが奏でる、稲穂の乾いた音。
残暑の太陽はまだまだ厳しくて、緑を塗りたくったような稲穂は
陽光と風を受けて舞うようにゆらゆら踊る。

そんな情景が、あらゆる角度から、
ある時はミクロな視点見上げるように、
ある時はマクロな視点から見下ろすように、
この少女たちの立ち姿を読者に見せてくれるのです。


いやぁ、本当に素晴らしい小説でありました。
これはラノベが主なターゲットとする中高生に
是非とも読んでほしいと思わせる、素晴らしい小説だったと思います。

もちろん、良い大人が読んでも楽しめること間違いないので、
まだ読んだことがなく、桜庭一樹さんに興味を持たれた方は
是非読んでみてください。



小川一水「時砂の王」感想

時砂の王

小川一水の「時砂の王」を読んだ。面白かった。

小川一水先生といえばオイラ内部では
未だにまずは一報ポプラパレスよりでデビューした河出智紀先生であり、
そしてそれ以来先生の作品は全く読んだことがなかったのですが、
どうもamazonレビューなど見るにつけ
すこぶる評判の良い作家になってらっしゃることが窺えたので
こっそりと一冊買ってみた次第なのであります。

そしたら何とまぁ面白いことか!

もう表紙からして凄まじい。
無骨で鈍い銀色の甲冑に全身を包まれた兵士らしき人物と、
どう見てもやんごとない力を持っていそげな、シャーマンのような女性が
並んで立っているという表紙ですけど、
もうね、この表紙がこの物語の全てを物語ってる。

舞台は、西暦248年の日本。
この甲冑の兵士が邪馬台国の王・卑弥呼を、
不気味で、おぞましくて、圧倒的で、不可解な物の怪から救うという、
鮮烈なシーンでもって物語の幕が開きます。

甲冑の兵士の正体は、
2300年後の世界から人類を救うためにやってきたというアンドロイド。
途方もない未来から、想像するだけで絶望してしまう程の過去まで、
ありとあらゆる時間と世界を縦横無尽に駆け回り、
化け物を打ち砕き、敵の住処を焼き払い、
時に仲間を失い、時に仲間を裏切り、
より多くの人間を救うため
敢えてマイノリティーとなった人間を見殺しにする。

そんな精神を打ち砕かれるような闘いを、10万年も繰り返してきた甲冑の兵士。
もはや涙を流す精神力すら枯渇し、
ただ敵を殲滅するためだけに己の腕と兵器を振るい続ける彼の姿は、
想像するだけで心臓を鷲掴みにされたような悲哀と悲壮に満ちあふれているのです。

数えきれぬ敵を討ち滅ぼしてきた。
そして数えきれぬ仲間を失ってきた。
斬られた仲間、潰された仲間、喰われた仲間。
しかし甲冑の兵士の心を完膚無きまでに叩き潰すのは、
見捨てざるを得ない仲間が最期に発する、悲鳴にも似た嘆きだった。

人類絶滅という現実を、ただ黙して受け止めることしかできない軍人の愁嘆。
妻だけでも助けてくれと、兵士の背中に叫んだ男の悲嘆。

絶望に心身を蝕まれ続ける彼らを見捨て、
ただただ敵を殲滅するために殲滅し続ける、甲冑の兵士。

そんな闘いを10万年も繰り返し続けてきた兵士の精神は、
摩耗し、疲れ果て、皮肉めいたシニカルな笑みしか浮かべられぬ程に弱り切っていたのです。

そして彼は、極東の地で出会います。
世界の果てとも言われた極東の地で、一国を治める女王と。
そして彼は、極東の地で迎えます。
10万年にも及ぶ絶望と悲劇ばかりだった闘いに終止符を打つ、最後の決戦を。

余りにも、壮絶な闘い。
そして余りにも、巨大で壮大な物語。
たった一冊の小説で、人類史のありとあらゆる側面を
悲しい兵士の視点から描ききった本作。

面白かった。本当に面白かった。

小川先生は日本SF界の新鋭のスターと呼ばれる程の実力者だということですが、
この一冊を読めば何故そのように呼ばれるか理解できるというものでしょう。
緻密なプロット。
細密な世界設定。
螺旋階段を急落下していくような、
怒濤の展開に終始圧倒されたままあっという間に読み終えてしまう、
そんな小説でありました。
オススメでございます。





ごっくん金田一

アニメ図書館戦争の制作現場に例のアレが差し入れされたらしく。

冷静に思い返すとうたらじってもう2年前のラジオになるんですよね。
んでまぁ思い出されるのはこのジュースを飲んだ柚姉ぇの「ごっくん、馬路村♪」という
軽やかな、かつ一オクターブ高い声による馬路村の宣伝なわけですけど、
この頑張ってる感からどうしても

嫌いな柚を頑張って飲んでる

感がひしひしとこちらに伝わってきて、

「ホラホラ、不味いなら吐き出しちゃいな。おぢさんの手に。ぺって。ぺって」

と俺の手にはき出させたジュースという名の白濁液馬路村を
また俺の手から無理矢理飲ませるという
かなり高度かつマニアックなプレイを妄想したりしたものですが、
今思い返すとどう考えてもド変態でしたね。
いやド変態なのは今もですが。





最近ド変態仲間のマユさんが何故か金田一耕助にどっぷりとハマっているご様子で。

つかマユさんてちょいと特殊な嗜好傾向を持つヲタの中でも
特にぶっちゃけたつーかはっちゃけたつーか
特殊な趣味をお持ちでいらっしゃいますな。
うみねこep2ラストのベアト×戦人では
「良いぞベアトもっとやれ!
と黄色い歓声を上げてみたり、
ディズニーシーに行けばミッキーの目の前でドアラの耳を付けてみたり。

マユさんのその余りのフリーダムさに
同行者一同全員舞浜の海に沈められたとしても何ら文句を言えぬ立場となってしまったわけですが、いやはや、本当にミッキーが武闘派じゃなくて命拾いした。

んでまぁそんなドSなマユさんが最近ご執心なのが横溝の金田一シリーズらしく。
なんかマユさんに言わせると金田一の魅力は腰の細さとか尻の薄さとかであるらしいですが、
こんな貧弱男が六尺兄貴の前に現れようものなら
「この軟弱者が!これが男だ!」
とオッス連呼しながら張り型ケツにぶち込まれそうな勢いですよね。ね。

しかしそんなガチムチの色黒兄貴の話はどうでもよくてですね。

オイラも興味を惹かれてamazonで検索してみたのですよ。金田一シリーズ。
そうしたらまぁ出るわ出るわ。
今回検索してみて初めて知ったのですが、
長編小説だけで21作もあるんですね。金田一。
そのときの21人の金田一に囲まれた俺の気分は
正に19人の妹の猛攻を受けきった聖なる日の覚悟にも似ており。

んでまぁどの小説で俺の金田一童貞を捨ててやろうかしら、
と指をくわえつつ選んでいたわけですけど、
まぁとりあえず俺の童貞はシリーズ第一作である
本陣殺人事件で捨ててみようかと。

後は定番として犬神家、八つ墓村、悪魔が来りて笛を吹く、悪魔の手鞠歌、あたりを抑えようと思っているのですが、他に定番とかオススメとかあれば是非ご教示頂戴したく。


マイブームとチン毛

ド甘珈琲


最近駅前にもうすんげーウメー珈琲を出してくれる喫茶店を発見しまして。
いや、なんか内装的に小洒落ているために
その店はオイラの露知らぬオサレ系喫茶のチェーン店なのかしらかしら、
とちょっとした疑問が湧いてくるも、
まぁチェーン店だろうが何だろうが提供してくれる珈琲の旨さは
紛れもない本物であるため、
気にせず毎週通い続けているのであります。

んでまぁそこの珈琲の何がウマイってですね。
冷静に考えれば珈琲が特別ウマイってわけじゃないのですけど、
いや旨くないんだったら先ほどから続いている
オイラの主張に一貫性が全く保たれていないわけですが、
まぁとにかくですね。
ここの珈琲は一般的によく言われる「旨い」珈琲ではなくて、
もうなんつーかとにかくただただひたすらに甘い珈琲なのです。

お前この珈琲どんだけ砂糖入ってんだっつーくらい、
珈琲の苦さとか酸味とかかき消えていて、
これは珈琲つーよりも珈琲風味の何か別のジュースと説明した方がしっくり来るほど。
おそらく砂糖の中に珈琲を入れたらこんな甘さになるんじゃないかしら。

いや元来が超甘党なオイラからすれば
かような珈琲の台頭は全く持って歓迎すべきであり、
実際ここの珈琲の味を知ってしまってからは
雪印のコーヒー牛乳ですら甘さが足りないと感じられてきてしまう程に
舌がこのド甘珈琲に慣れきってしまったわけですががが。

んでまぁそんなド甘珈琲を提供してくれる素敵喫茶で、
ちびちびとド甘珈琲を口にしながら、
ヘコヘコとノートPCを持ち込んでSSを書くことがマイブームになりつつありまして。

いや、逆に言うと家で作業していると全くはかどらないのですよ。
具体的に言うとニコニコ動画という恐るべき魔手と、
カーペットに散らばるチヂレ毛の数々が気になりすぎて。

いや、これでも一応忙しい身なれど掃除はしてるんですのよ?
でも何つーかこう、俺んちのチヂレ毛の出現率の高さは異常つーか。
昔バイト先の先輩をウチに招いたときにも、

「どうして缶の部屋ってこんなに陰毛が落ちてるの?

などと直球勝負にも程があるストレートな表現で
ざっくりと俺のハートを一刀両断してくれたわけですが、
やはり一般の人から見ると俺んちの部屋はチヂレ毛天国、あるいは陰毛パラダイスの異名を欲しいままにできるほどのチン毛っぷりなのでありましょう。
そしてそんな部屋に住み着いている俺は、
さしずめ妖怪チヂレ毛男といったところか。
いらねーこんな異名。


アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」感想

そして誰もいなくなった

アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を読んだ。面白かった。

アガサといえばミステリーファンならずとも広く知られた大作家であり、
そんなミステリー界の巨匠の代表作をこのたびようやく読み終えたわけですけど、
いやぁやっぱり面白いですな!

ミステリーというものをそれほど深く読み込んだことがあるわけではないので、
この作品におけるトリックの鮮烈さとか奇抜さっつーのはよくわかりませんけど、
兎にも角にもプロットの巧みさだけは本当に天下一級に素晴らしすぎる。

冒頭でいきなり10名もの大人数が登場したかと思えば、
作品全体に影響を及ぼす童謡が間に差し挟まれ、
読者に与えられる情報量の多さにちょいとびっくりしてしまったものの、
それでも混乱することなく最後まで読みきることができたのは、
その巧みな構成力の賜物であるといえましょう。

これほど多くの、そしてこれほど業の深い人間が一同に介しているというのに、
読者を混乱させることなく物語を進めてしまうアガサの手腕は本当に素晴らしくて、
しかもキャラクター一人一人が実に魅力的で、かつ一筋縄ではいかない曲者ばかり。

ちょっと登場人物が多くなってくると、絵と文字で表現されるマンガでさえも
「アレ、こいつどんなヤツだったっけ?」
と忘れてしまうことがままあるというのに、
文章のみで表現しなければいけない「小説」というジャンルにおいて、
完全にキャラクターの書き分けを実施しているこの小説の素晴らしさを、
俺ごときの文章力では表現しきれません。


そしてもうひとつ、この作品の本当に素晴らしい点は、
一人一人少しずつ殺されていくなかで、
徐々に追い詰められていくキャラクターたちの心理描写。

誰が犯人かわからない、
いつの間に殺されたのかすらわからない、
そんな目に見えぬ「U.N.オーエン」の魔の手により、
宿泊客が一人一人確実に殺されていく中で、
互いの疑心暗鬼によって泥沼化していく人間描写が、
もう本当にリアルすぎて気持ち悪くなってくるほど。

徐々に削られていく宿泊客。
それに伴い絞られていく容疑者。
「自分以外の全ての人間が容疑者」という常軌を逸した状況の中で、
我が身を守るために互いの監視を怠れない、
誰が殺人犯かわからないために
容疑者と同じ部屋で過ごさなければいけない矛盾を抱えながら、
それぞれのキャラクターは途方も無いストレスを感じつつ、
助けが来るその時を、ゆっくりと待ち続けるしか出来ないのです。

誰が犯人なのだ?
アイツが犯人に違いない!
彼は信用してもいいのか?

おろし金でザリザリと削られるような緊張の中で、
彼らの恐怖と不安はクライマックスにおいて最高潮に達します。
そして繰り広げられる驚愕のエンディング。

70年も前の作品でありながらその面白さは全く色あせず、
ページを繰る手を止めることなど出来ぬまま、
エンディングを読み終えた頃には
凄まじい興奮と共に本を閉じた記憶だけが残っています。

いやぁ面白かった。本当に面白かった。

ぜひこの本の面白さを皆さんにもお伝えして、
かつオススメしたいと思ったのですけど、
よく考えれば、ミステリーファンであればアガサを読まないわけがないし、
ミステリーに興味が無い人は
こんな感想文読んだところで興味なんて持たないだろうし、
結局いくら俺が薦めたところで
誰も読んではくれないのだよなぁ、と
そんな想いを強くしてアンニュイな気分に陥った、
そんな冬の夜。



井上堅二「バカとテストと召喚獣」感想

3巻表紙3.5巻表紙




井上堅二の「バカとテストと召喚獣3巻」と「3.5巻」を読んだ。面白かった。

いやはや、巷のレビューつか感想を見ていると、

「男でも女でもない、新たな性別『秀吉』が可愛すぎる」

とか皆さん異口同音にそう言ってるじゃないですか。

もーね。
こんだけ表現が重なると
とうとう俺も本物のシンクロニシティを目の当たりにしてしまったのか、
そうでなければこの人たちは
集団幻覚でも見たんじゃないかしらとの懸念を抱いたりもしたのですが、
要は3.5巻に「第三の性別『秀吉』」という記述があっただけなのですね。
物凄い勢いで納得。

いやぁそれにしてもですね。
3巻で工藤さんがスパッツを穿いていることで
「パンチラが見られない!」
と明久とムッツリーニが悶絶してるじゃないですか。

もうね。こいつら何もわかっちゃいない。

スパッツがその本領を発揮するのは、その体の線を余すことなく赤裸々にあけっぴろげに大公開してしまうところにあるわけですよ。
今さら俗・絶望先生の藤吉を例に出すまでもありませんが、
とにかくスパッツ単体のエロさつーのは筆舌に尽くしがたい魅力を伴って
見るものの眼球をがんじがらめに縛り潰してくるわけです。

で。

ここで重要なのは、体の線がそのまま出てくるという一点。これに尽きる。
そう、このスパッツを工藤さんなどというビッチに穿かせるのではなく、
新性別・秀吉に穿かせるわけですよ。

そして衆人の目に晒されるであろう脚線美は言うに及ばず、
もっとも注目すべきはやはり股間。

男でも女でもない新性別秀吉であるからこそ、
スパッツを穿いた秀吉の股間には、これ以上ないほど秀吉めいたモノの陰影を限りなくリアルに視姦することができるわけであります。
しかも秀吉はスパッツを見られているだけだから、
きっと何の抵抗感もなく見せてくれるはずですよ。
それこそ
笑顔でスカートをめくってくれ
などという悪辣非道な要求にもしれっと応えてくれるほどに。

何はともあれ、秀吉めいたモノの形状がいかなるものなのか、
それを挿絵から推察することは限りなく不可能に近いわけですけれども、
願わくば仮性、百歩譲って真性、
まかり間違ってもズル剥けだけは絶対に許せないのは
全国3億4千万人の秀吉ストならば満場一致で合意いただけることかと思いますが、
まぁとにかくですね、
美波を選んだところでおっぱいすら付いてこないことを考えれば、
秀吉を選ぶ事でもれなくおちんちんという名の秀吉めいた何かが付いてくる事ですし、
秀吉フラグを立てることで得られるメリットは計り知れないと言えましょうや。

結局秀吉についてしか語ってない今回の感想文ですけど、
とにかくギャグの面白さと物語全体のバカバカしさを愛でたい紳士淑女の皆さんは
ぜひ読んでみれば良いと思います。


  

長谷敏司「戦略拠点32098 楽園」感想

長谷敏司の「戦略拠点32098 楽園」を読んだ。面白かった。

円環少女シリーズの作者・長谷敏司氏のデビュー作となる本作。
第6回スニーカー大賞で金賞を受賞した作品と銘打たれるだけあって、
その完成度は本当に見事の一言。

戦闘に破れ、自軍から見放された一人の兵士が、とある惑星に着陸します。
そこで出会った、一人の少女と、一体の鋼鉄の兵士。
そして物語は始まります。

戦いの中に身を置く事が当たり前になってしまった兵士と、
戦いの事など何も知らぬまま惑星で暮らす少女が織り成す、
奇妙で、滑稽で、しかしこの上なく平穏な生活は、
兵士の心に少なからない変化をもたらします。

ささくれた皮膚には温い湯でさえも僅かな痛みをもたらすように、
親の顔も知らず、闘う事でしか自己を見出せない哀しい一兵士の荒んだ心には、
少女のあどけなく澄み切った笑顔が、
時に疎ましく、しかし途方も無い愛おしさで満たされていくのを実感できるのです。

穏やかで、静かで、愛しくて、何も生み出さない、
しかし柔らかい輝きとなって紡がれる、
1人の少女と2人の兵士が織り成す奇妙な生活。

やがてその輝きが失われるとしても、
しかしこのたった一瞬の輝きは、
確かな意味を伴って、兵士たちの心の中に在り続けるのです。

余りにも、滑稽な出会い。
余りにも、皮肉な巡り合わせ。
しかし3人にとって、この瞬きのように頼りない、しかし確かなこの邂逅こそが、
星間戦争よりも大きな重要性と価値をもたらし、
それぞれの想いと生涯に決定的な変革を与えました。

どこか切ない物語。
ただどこまでも感傷的な物語。
平穏で、それぞれの心をぶつけ合う、ただそれだけの物語。

だけどそれ故に、深い。

兵士の存在意義、少女の使命、惑星の"楽園"としての在り方。
それぞれが途方も無く深い意義を持ち、
その圧倒的な存在感に打ちのめされながら、
3人は悩んで、憤って、泣きたいのに泣くこともできず、
そして痛みを伴いながらも決断を下すのです。

面白かった。本当に面白かった。

狼と香辛料のような緻密な構成力があるわけではない。
涼宮ハルヒのようなわかりやすい見せ場があるわけでもない。

しかし、人としての生き方、平穏への郷愁、
そして自分のことを忘れないでほしいという、
余りにも単純で、しかし強い願い。
人の死や尊厳をSFロマンを通して真正面から描ききった、素晴らしい傑作でございました。

これは本当に皆さんにもぜひ読んでいただきたい大傑作でしたけど、
惜しむらくは、これがすでに絶版となってしまっていることか。
オイラ自身、これはAmazonマーケットで古本として買いましたし。定価以上で。

もしオイラの駄文に興味を持ってくださる御仁がいらっしゃれば、
例え定価以上の投資をしてでもこの本を手に入れるべきです。
そしてもし興味を持つ事が出来なかったとしても、
古本屋などでこの本を見つけることが出来たら、ぜひその場で購入すべきです。

本当に素晴らしいSF小説でございました。
ぜひ皆さんとこの感動を共有したい、そう思わせる一冊です。




やっぱり図書館戦争でしょ

【アニメ版図書館戦争】

遂にアニメ版図書館戦争の公式サイトが更新されましたぜダンナ!!!!!!

つか堂上が思ったよりもかっこよく、手塚が思ったよりもずっと強面でびっくり。
この手塚が後半になればツンデレになってみせたり、照れ隠しで怒鳴ってみたり、想い人に優位に立てない歯痒さを全身で感じたりするのか。
くおーたまんねー!

それと今回のアニメでは、
3巻の「図書館危機」までがエピソードとして描かれるようですな。
まぁ確かに3巻のあのラストならば、最終回を迎えるに相応しい、
素晴らしく感動的なシーンにできますし、問題を山積したまま一応の節目を迎えさせることができるし、好都合ですよね。

図書館革命の、あの緊迫感に満ち満ちたクライマックスを
アニメで味わえないのはちょいと残念ですが、
まぁきっと図書館革命のエピソードはOVAで補完されるでしょうし、
気長に待ちますか。


んで待ちに待ったキャスト一覧。

 笠原 郁:井上麻里奈さん
 堂上 篤:前野智昭さん
 柴崎麻子:沢城みゆきさん
 稲嶺和市:佐藤晴男さん
 小牧幹久:石田 彰さん
 手塚 光:鈴木達央さん
 玄田竜助:鈴森勘司さん

沢城みゆきと石田彰しかわからねぇ・・・。
つかみゆきちはアルルゥの声しか知らないし、
石田彰は1人7役しか知らないし。

と思ったら、井上さんて絶望先生の木津千里だったのか。
しかも鈴木達央さんてば愛知県岡崎氏出身かよ。
某サングラスと同じぢゃねぇか。


【初音ミク】

それと先日の飲み会で、初音ミクの同人誌とは一体どのようなものなのか、
東京に来てからというもの、毎週のように同人イベントへと顔を出し、
その勢いたるや水を得た魚、バットでトドメを刺す由乃ばりの良い笑顔で会場を闊歩するフランさんに聞いてみたのですよ。
そうしたら、

「世に出回っている初音ミクの同人誌は、ほとんどが
 初音ミク、ご主人様の部屋に来る
 ↓
 えちぃことする
 ↓
 何らかのオチがつく
 という展開だよ」

という回答を頂戴し、
それってつまりエロ同人誌しかないということの証左かとも思ったのですが、
そもそもフランさん自身がエロ同人誌しか手に取らないことを思えば
何の参考にもならねぇじゃねぇかサノバビッチ!と怒りを露にしてみたり。

でもまぁ冷静に考えてみれば、
初音ミクとご主人様っつーシチュエーションは
ロボットと人間の掛け合わせですし、
実は料理次第ですげぇ面白い話を作る事ができるんじゃねぇかなぁ、
と妄想していたら大まかなプロットを作る事ができたので、近々SS書こうかと。

こうしてらきすたSSの完成が一歩また遠のく、と。
いや、本当はらきすたSSのプロットは完成してるんだよ。本当に。

岡嶋二人「クラインの壷」感想とか

先日fukazawaさんとこすけさんとフランさんとで飲み@秋葉原に行きまして。

いや、本当はここにもう二人、
かーずさんとマユさんも加わる筈だったんですけど、
かーずさんは前日の夜に「原稿間に合わねー!」とドタキャンし、
マユさんは「友人の原稿間に合わねー!」とヘルプのためドタキャンするなど、
「同人原稿」と「俺への友情」を天秤にかけた場合に
ぶっちぎりで同人原稿を取る彼らとの付き合い方をもう少し見直すべきだとの結論に至った、そんな週末。


んで飲み会での話題といえば
「最新の萌えジャンルはツンデレでもヤンデレでもない。自分×自分だ」
とか
「こすけさんの会社が立ち上げる次のプロジェクトは絆~エクスタシー~だ」
とか、もうホント頭パープリンなことばっか言ってる俺らは平均年齢30歳。

ちなみに上記台詞は全てfukazawaさんによるものなんですけどね。
つかこの人の口先から飛び出る台詞のひとつひとつは
まさに奇跡っつーか驚愕っつーか生き恥っつーか。


そしてこの席でも、オイラは皆に有川浩作品がいかに素晴らしいかについて
滔々と語っていたわけですけれども、
そういえば数ヶ月前までフランさんが狼と香辛料をしきりに薦めていて、
それが若干、つーかかなりウザかったことに思い巡らし、
ああ、もしかして今のオイラは一種のフラン化の症状を起こしてるのかしら、との懸念を抱いたため、これからはなるべく自重していこうと思います。


【感想文】

岡嶋二人の「クラインの壺」を読んだ。面白かった。

つっても、実はオイラこの話は昔NHKのドラマで見たことがありまして。
で、その結末があまりにも衝撃的だったのと、
ヒロインのおにゃのこが余りにも可愛らしかったために
凄まじい印象と共にオイラの脳裏に焼き付けられていたのですね。

んで11年後。
会社の後輩に薦められ、そして当時気まぐれで観た忘れられぬドラマの原作が
この「クラインの壷」であることを知り、
抑えきれぬ興奮を持て余しながら
ワクワクとページを開いたわけであります。

で。

結末がわかっているミステリーほどつまらぬものはないということをこの度まざまざと思い知らされました。

なんつーのかしら。
主人公たちの言動ひとつひとつが、もうね。
白々しくてこの上ないわけですよ。

どんだけ緊張感たっぷりに主人公たちが思い悩んでも、
「イヤだってホラ、そこのトリックはこうなっているからだよ」
とか心の中で突っ込み入れちゃったりして。

そんな斜な楽しみ方しかできないから、
エンディングもホント味気ない。

この味気なさをどう表現すればいいのかしら。
Kanonのエロシーン並みにあっさりしてるっつーか、
ハクオロの早漏っぷり並にがっかりさせられるっつーか、
俺の高校時代並にぱっとしないっつーか。


何はともあれ、最後のネタバレとか知らなければ十二分に楽しめる、
素晴らしいエンターテイメントSFミステリーであることに間違いはないので、
ぜひ読んでみれば良いとおもいます。




何の変哲もない日記

つーことでSSを更新しました。
今回はらき☆すたSSです。
しかも需要が驚くほど無いと思われるそうじろう・かなたSSです。
ビックリするほど反響がないと思いますが、
まぁ同人というものは作りたいものを作るっつーことが本質だと思ってるので、
何はともあれもし興味があればぜひご一読いただきたく。

SS目次はこちら。
SSへの直リンはこちら。




MEIKO女史の歌唱力がグンバツすぎてマジ驚愕。



SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
つか何も知らずに聞いたとしたら、
リアルすぎて人間が歌っていると間違えてしまうのではないかしら。
そしてMEIKO女史への調教もさることながら、
曲そのものの完成度もすこぶる高く、詩の魅力もまっこと素晴らしく。

動画のコメント欄にあったのだけど、
MEIKO作成にあたり声を提供したのは本物の歌手だから、
本当に調教を完璧にすると、
「歌唱力」という意味で完成度が高くなるのはミクやレンではなく、MEIKO姉さんだっつー意見があったのだけど。
これ本当なのかなぁ?







みどー兄さんがイカシすぎて困る。
結婚してくれ。

らき☆すたSS 1-1.出会う

らき☆すたSS
「勇気の指環」
~まだ幼かった僕らが、無邪気に笑い合えていた頃の話~

1.出会う

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有川浩「図書館危機」「図書館革命」「レインツリーの国」「阪急電車」感想

有川浩の「図書館危機」と「図書館革命」と「レインツリーの国」と「阪急電車」を読んだ。面白かった。

【図書館危機と図書館革命】

昨年の年末、塩の街ですっかり有川浩作品に入れ込んでしまったオイラは、
塩の街を読み終えてしまう前に即座に本屋へ出向き、
そこで陳列されていた有川浩の本をまとめて大人買いしてきたのですよ。

塩の街という素晴らしい傑作を書いた作者ならば、
 他の作品も絶対に俺の嗜好に合うに違いない!」

と半ば確信に近い思い込みを伴いながら。

で。

その思い込みはまさに大当たりも大当たり、
この図書館戦争シリーズは有川浩の最高傑作と呼ぶに相応しい大傑作にございました。

特にラストの盛り上がり方は本当に素晴らしい。
最近読んだ本の中で、瞬間最大風速が最強のクライマックスを展開したのは、
狼と香辛料3巻のオークションであるとオイラは勝手に思ってるのですけど、
申し訳ないけど、図書館革命のクライマックスはそれを越えたね。

1巻に相当する図書館戦争から全4巻に渡って繰り広げられてきた、
メディア良化委員会との戦い。
それら全ての戦いの歴史が、このクライマックスで収束しようとするのです。

これまでメディア良化法に対して受動的な、
いわゆる「守り」の戦いしかできなかった図書隊が、
初めて迎える「攻め」の戦い。

図書館だけでなく、出版、ラジオ、新聞、テレビ、
その他様々なメディアを縦横無尽に巻き込んで
日本国政府に戦いを挑む我らが図書隊!

信頼し、裏切られ、逃走し、負傷して、次々と脱落していく仲間たち。
焦燥と不安の中で、それでも最後の奇貨を手中にせんと、
必死で食い下がる主人公。
頭も悪い、技術もない、指示を請うにも連絡手段がない。

だけど、今ここで自分が踏ん張らなければ、
日本の将来は本当に真っ暗になる。

そんな最悪の事態の中で、懸命に走る主人公。
逃げて、探して、無い知恵を振り絞って、
何とか最後のバトンを繋げようともがき続ける姿は、
繰るページを止めることも出来ないくらいに、
読者を引き込んで止みません。

興奮の坩堝(るつぼ)という使い古された言葉がありますが、
この小説のクライマックスを表現するのに
これほど的確な単語があるというのか。

いやもう、これは本当に面白かった。
4月からはアニメ版が放映されますけど、
アニメではぜひこの図書館革命のエピソードまで描ききって欲しいものです。


【レインツリーの国】

図書館内乱で登場した同名小説の作中作。
図書館内乱ではこの小説をきっかけとしてひとつの事件が勃発するのですが、
それはまた別のお話。

これまではちょいとファンタジーじみた設定を交えた、
アクションSF小説ラブコメ風味、といった按配の作風の有川氏でしたが、
この小説は本当に真正面から正攻法で
「ワケありの男女の心の機微」
を描ききってるという、氏としてはちょいと珍しい作品。

そしてその異端性は登場キャラクターにも現れていて、
これまでの氏の作品では様々な人物が登場して、
彼らの人生や言動、思惑が複雑に絡まりあって物語が進んでいくのが通例でしたのに、
この小説では主人公とヒロインの二人しか登場しないのですね。

いや、勿論脇を固める手堅いキャラクターもちゃんと登場するのですけど、
それはあくまで「脇役」でしかなく、
やっぱり物語の根幹には一切関わってこない人たちばかり。

しかしそれだけに、深い。
本当に深く深く、主人公とヒロインの人生観や個性などが
繊細に、絶妙に描かれているのですね。

これほどまでに一人の人間を深く描ききる作風を持つ作家は
文芸には数多くいらっしゃいますけど(林真理子や村山由佳、群よう子も入れていいか?)、
ライトノベル界には全くもっていない人材ではないでしょうか。

いや、だからこそこの小説はメディアワークスではなく、
新潮社から出版されたのかもしれないけど。

ただ読み終えた感想としては、
ライトノベルやミステリー、SFなどの
急転直下な展開が始終繰り広げられる小説を読みなれている人にとっては
この小説はかなり退屈に見えてしまうかも。
オイラは天使の卵や不機嫌な果実などを厨房の頃から読んでいたこともあり、
こういうのっぺりとした展開も比較的受け入れられましたけど。

有川作品を知らない人は、とりあえずこの本は避けておくことが無難だとは思いました。
つかまずは塩の街を読め。悪い事言わないから。


【阪急電車】

有川浩氏の最新刊。
電車に乗る様々な人々の人生模様を少しずつ少しずつ抜き出し、
それを各駅に小刻みに止まる電車のように
ごく短い章に区切られながら、テンポよく物語を組み立てられた小説。

これもまたレインツリーの国のように
比較的のっぺりとした展開が続く小説ですが、
それでも200ページちょっとの小説にしては登場人物がかなり多く、
しかしそれらを混乱させないように
緻密な計算に基づいて構成とプロットが組み立てられているため
非常にテンポよく、気持ちよく読み進められる小説でした。

つーかこの小説を読み終えた第一印象は、甘い。
とにかく、甘い。

何つーのかしら。

CLANNADにおける渚とのラブラブっぷりを、
ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと
描かれた感じかしら。
多少の諍いをしたりもするし、ちょっとした自棄を起こしたりもするけど、
そんなちょっとした事件も
恋人たちの絆を強く結ばせるきっかけにしかなってないあたり、
もう本当に甘いっつか羨ましいっつか僻みの情を捨てきれないっつか。

まぁとにかく有川氏が描くラブラブ小説を心行くまで堪能したい
リア充かドMの皆さんはぜひ読んでみれば良いとおもいます。


   

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