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環と図形に想いをはせる「14日間でわかる代数幾何学事始」

14日間でわかる代数幾何学事始14日間でわかる代数幾何学事始
(2011/09/16)
海老原 円

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久しぶりに代数幾何学の勉強をしてる。
位相幾何学もろくに勉強してないのに代数幾何学とはいっきに飛びすぎかなぁとは思ったが、
そこは読んでる本が素晴らしいせいか、今のところ躓いたりせずに順調に読み進められてる。

それにしても位相空間の例としてハウスドルフ空間だけでなく、ザリスキー位相も紹介してくれたのは嬉しかった。
ハウスドルフ空間とは、任意の2点x,yについて、それぞれを含む近傍のなかでX∩Y=0となるような近傍X,Yが存在する、というのが定義。
しかしこれは、自分たちが暮らしている世界の中では一見すれば当たり前のことで、
すべての位相空間はハウスドルフ空間なのではないか、と誤解してしまうことが多い。
ていうか、自分もまさに学生時代にそう考えてた。

しかし、ハウスドルフ空間ではない位相空間、つまり2点x,yについて、それぞれを含む近傍の中で必ず共通部分を持ってしまう位相空間が存在して、そのひとつがザリスキー位相である、という紹介は本当の本当にためになった。

しかもザリスキー位相はそれほど難しい定義ではなくて、
アフィン空間A(n,k)の代数的集合を閉集合とみたてたときのアフィン空間そのものを
ザリスキー位相として定義してるだけなのだ。
直感的で、非常にわかりやすい位相空間のひとつじゃないか、と勝手に僕は思ってる。

こんな身近なところにハウスドルフ空間とは違う位相空間が存在することが意外だったし、
そのことに気づけなかった自分を恥じ入るばかりでもある。
それでもこの本が与えてくれた光明は、
学生時代のモヤモヤとした数学上の疑問にひとつの回答を与えてくれたこともまた事実。

たまたま図書館で手に取った本だったのだけど、これは非常に素晴らしい本だった。
もし位相幾何学とか代数幾何学に興味があるけど深く勉強できていない、という人は
ぜひこの本を手にとってみると良いと思う。
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狂気の何たるかをみせつけられた「新興宗教オモイデ教」

新興宗教オモイデ教 (角川文庫)新興宗教オモイデ教 (角川文庫)
(1993/04)
大槻 ケンヂ

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ぐちゃぐちゃだ。
何もかもをぐちゃぐちゃにされた。
不思議な友人も、自分の妄想も、仄かな恋心も、本当に何もかも、己を構成する世界そのものをぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、ぶちこわされてしまった。
そんな破滅的な感情へ追い詰められてしまう暴力的な一冊、それこそ大槻ケンヂの傑作「新興宗教オモイデ教」だ。

物語は、主人公とある女子高生の不思議な会話から始まる。
そこで交わされるのは暴力的とも無邪気とも呼びづらい、言うなれば狂気になりかけた少女の必死の叫びとでも言うべき、不思議な会話が交わされる。

だが100ページも読み進めていけば、その会話こそ作品全体を貫く「狂気」の一端であることに気づかされる。
オモイデ教の信者たち、そこで出会う「中間」という怪しい関西弁キャラ、そんな「中間」を魅了したゾン、そしてメグマ波というとんちきな超能力。
それを超能力と呼んで良いものか判断しかねるが、
しかしこの「メグマ波」という狂った能力こそがこの世界すべてを狂気で満たした元凶と言えるだろう。

メグマ波とは何なのか。
なぜこの能力を使える人間と使えない人間とに別れているのか。
どうして主人公はこの能力に長けていたのか。

そういった科学考証はどうでもよい、そう断言させる力強さがこの作品には根強く息づいている。
この作品の恐ろしさは、小説全体、それこそ一ページ一文一文字に至るまで、
怖気が走るくらいに染み込まれた「狂気」の存在だ。
己の中に燻る破壊衝動をどう発散すればよいものか分からず、
ひたすらに「ロック」で解放させていく中間とゾン。
想い人に酷い裏切られ方をしたクラスメイトの女の子。
彼らはいずれもひどく歪で、歪んでて、狂っている。

メグマ波の正体も、メグマ波をめぐる政治的圧力も関係ない。
この物語をぎらぎらに輝かせているのは、紛れもなく登場キャラクターたちの狂気なのだ。
その凄惨な死に様の最後に告白する彼らの狂気、
その狂った一言でその人物がいかなる苦悩を抱えていたか無限に妄想させてくれる優れたキャラクター性、
そしてそんな素晴らしいキャラクターをモブキャラとして使い果たす思いきった物語構成。
そういった数々の名脇役の遺骸の果てで
絶望と呼ぶにはあまりに柔らかい、喪失と呼ぶにはあまりに虚無的な、
そんな灰色一色のラストへ繋がっていくのだ。

2011年も終わりにさしかかったところで、とんでもない一冊に巡り会ってしまった。
20年近く前の作品だし、決して手に取りやすい表紙でもないためなかなか巡り会うのは難しいと思う。
しかしこの度、この作品に出会えたこの幸運を心ゆくまで味わいたい。
素直にそう思える珠玉の一冊だった。
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