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初音ミクSS「君の心は、そこにある」第一章~蜜月~

正徳一九年(二○○七年)九月二八日(金) [2]


「あの、星登さん」



ミクが視線を向けて呼びかける。

今までテレビに夢中になっていると思っていたが、

どうやらCMに入ったらしく、身体ごと星登に向き直っている。



「何だい、ミク?」

「星登さんは小さい頃、どんなお子さんだったんですか?」



ミクは瞳を興味に澄み輝かせながら尋ねた。

藪から棒にどうしたのかと一瞬考えたが、今見ている番組が大家族ドキュメンタリーであることを思い出し、

それに影響されて湧いた疑問なのだろうと合点がいった。



「普通の子供と同じさ。

 父さんがいて、母さんがいて、僕が住んでたところだと一軒家は高かったからマンションに住んでてね。

 でも僕たち家族が暮らして行くには充分な広さだったよ」



「以前はマンションに住んでらしたんですか?」



「うん、そうだよ。昔は埼玉県に住んでてね。

 僕らが住んでた地域では十階建てのマンションが三棟並んでて、

 新婚の夫婦や家族がいっぱい住んでたな。思い出すと懐かしいよ」



ミクは、へえ、と感嘆のため息をつきながら、好奇心を隠そうともせずに星登の話に聞き入っている。



「あの頃は楽しかったよ。

 みんなが手の届くところにいて、互いに自然に笑い合うことができた。

 父さんも、母さんも、妹も、みんなが元気に、健やかに暮らしていたんだから」



星登の話を聞きながら、フフ、とミクが小さく笑った。



「どうしたのミク? 何か可笑しなこと言ったかな?」



「いえ、昔の話をされるときの星登さん、凄く優しい顔になってます。

 だからとっても楽しい思い出なんだろうなって。そう思っただけです」



「そうかい? ・・・何だか、照れくさいな・・・」



頬を掻きながら、照れ隠しに俯く。



「それに星登さんがご家族のお話をされるのも、初めて聞いちゃいました。

 星登さんって妹さんがいらっしゃるんですね。知りませんでした」



たじろぐ星登。しかしそれも一瞬のこと、すぐに返答する。



「・・・ああ、でも妹は遠くにいってしまってね。なかなか会うことができないんだ」



「・・・そうなんですか? それは残念です。是非ご挨拶させていただきたかったのですが・・・」



がっくりとしょげるミク。星登は、そのうちにね、とフォローした。


初音ミクSS「君の心は、そこにある」九月二十八日(金) 「3」 へ



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