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初音ミクSS「君の心は、そこにある」第一章~蜜月~

正徳一九年(二○○七年)九月二八日(金) [3]


CMが終わり番組が始まった。星登は何とはなしにテレビへ視線を向ける。

そこには子供達がおもちゃを取り合いながらケンカする姿が映し出されていた。その様が何とも微笑ましい。



星登は何気なしに口を開いた。



「・・・家族は良いものだよ、本当に。父親がいて、母親がいて、子供がいる。みんなが笑顔でいられる。

 そんな家族の在り方が、ありふれた当たり前の姿こそが、一番幸せな形だと思うんだ。

 だからさ、僕もいつかは、あんな笑顔で溢れる家族を持ちたいなってね。そう思うよ」



「それが、星登さんにとっての夢なんですか?」



「夢かい?」



星登はミクの言葉を反芻して、ハハ、と小さく笑う。



「夢、か。そんな大それたものではないけどね。でも・・・うん、こういう家族には、確かに憧れるよ」



テレビを見ながら語る星登。

しばらくして、ミクが視線を星登に向けていることに気がついた。

星登はCMが明けてミクもテレビを見ていると思っていたので、疑問を投げた。



「どうしたのミク? 他に聞きたいことでもあるのかい?」



「え! あ、い、いえ、そんなことはないのですが・・・」



何故かあたふたと慌てながら弁明するミク。



「ただ、その、ご家族についてお話するときの星登さんって、

 とっても優しい目になってて、それが、ちょっと素敵だなぁって、思っちゃってですね・・・」



「え、ちょっとしか思ってくれないのかい? それはショックだなぁ・・・」



ミクの言葉尻を拾ってからかう星登。

その一言に、ミクは更に慌てふためいていく。



「あ、いえ、勿論ちょっとじゃなくて、

 星登さんはいつも素敵なんですけど、ああ! い、いえ、そそそういう意味ではなくてですね、

 ああそれも違くて、そういう意味ではないことはないのですけど、その・・・」



段々と話が支離滅裂になってくる。



「そそそのですね、私もこんな家族には凄く憧れちゃいますし、

 それで、星登さんも同じように憧れてらっしゃるのならですね、

 その、・・・私も、星登さんの未来の家族の一員になれればなぁって、・・・ちょっと、思っちゃったんです・・・」



そこまで言い切ったミクの顔は桜色に染まり、

星登の顔を見ることも出来ずに俯いてしまった。

しかしそれでもなお、耳まで真っ赤にしていることが容易に見て取れる。



今度は星登が平静さを失った。

慌てふためき静逸を見失ったミクが、思わず口にした星登への好意。

そして恥じらいに頬を染めて俯くミクの姿に、星登は鼓動を早鐘のように打ち鳴らしてしまう。



「・・・そ、そうかい? あ、ありがとう・・・」



それだけを口にするのが精一杯だった。



その後は、星登もミクも番組の内容など全く頭に入ってこなかった。


初音ミクSS「君の心は、そこにある」十月七日[1]へ



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