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初音ミクSS「君の心は、そこにある」第二章~懸想~

正徳二十年(二○○八年)一月九日(水)[5]

「僕ではミクちゃんの期待に応えられないけど・・・」

トシヤが言葉を続ける。

「コトミだったら、きっと役立つ助言をしてくれると思う。

 同じ女性型アンドロイドだし、ミクちゃんの期待する回答も得られるかも知れない」



「コトミさん・・・ですか?」



ミクは初めて聞く名にきょとんとしてしまう。



「ああ、そうか。ミクちゃんはまだ知らなかったね。

 僕が常駐しているALKOSの出張所があるのだけど、

 そこに事務員としてアサインされているのがコトミなんだ」



「あの、コトミさんという方もアンドロイドなんですよね?

 どういった型のアンドロイドなんですか?」



「ああ、言葉が足りなくてごめん。

 コトミは僕らと同じクリブトン社製の秘書用途アンドロイド『MEIKO』なんだ。

 そしてコトミというのは、彼女のニックネームなんだよ。

 丁度僕にとってのトシヤと同じ意味だね。

 MEIKOならミクちゃんも知っているだろう?」



知らぬはずがなかった。

MEIKOと言えばKAITOよりも一年以上前に販売開始された、

クリブトン社製企業向け秘書用途アンドロイドである。

警備用途のKAITO、介護用途のミクと違い、

MEIKOは事務処理や秘書業務に特化したアンドロイドとして設計・開発された。



それまで多くの企業では、事務処理業務を行う部署と言えば、

派遣社員や契約社員によって構成されるのが常道であった。

そしてそこに大きなビジネスチャンスがあると睨み、

クリプトン社はアンドロイド『MEIKO』を食い込ませてきたのである。



MEIKOの強みは単純明快であった。

従来の事務処理部署へリース契約したMEIKOを配置することで、

正社員や派遣社員を雇用するよりも段違いの低コストを実現できるようになる、それだけだ。

しかし単純なロジックであるだけに、顧客に与えるインパクトは絶大だった。



特に大きな反響を得られたのが、MEIKOのコストメリットに対する反響だ。

正社員一人を雇用するのにかかるコストは、労災などを含めればおおよそ年間一千万円前後となる。

しかしMEIKO一体のリース料金は、なんと年間二百万円前後なのだ。

しかもMEIKOには事務処理業務や秘書業務を行うに当たり、

必須とされる前提知識をプレインストールされた状態で出荷されるため、

企業側からすれば即戦力となる人材が、脅威の低コストで、

しかも即座に派遣されてくる事と同義であった。



このような理由から、企業規模の大小問わず、

アンドロイドMEIKOは様々なオフィスへ配置されるようになった。

そしてこのMEIKOの成功があったからこそ、

後続のKAITOや<初音ミク>が開発されたと言っても過言ではない。



言わばMEIKOとは、ミクにとって敬うべき先達だと言えた。



心なしか緊張を身に宿してしまうミクに、トシヤはあくまで優しい声音で語りかけてくる。



「良い機会だし、是非出張所へ行ってみると良い。

 コトミもミクちゃんに会いたがっているしね。

 住所と地図はブルートゥースで送信するよ。・・・届いたかい?」



「はい、届きました。ファイルも見られます」



「コトミには僕から連絡しておくからさ。是非行っておいで」



確かに、良い機会なのかもしれない。

それに何よりも興味があった。

ミクの相談事についてもそうだが、

ミクと同じ女性型アンドロイド『MEIKO』に対する純然たる興味が非常に強かったのだ。



「はい、それじゃあお言葉に甘えて、お邪魔させていただきます!」



トシヤに見送られながら、ミクは公園を後にした。


初音ミクSS「君の心は、そこにある」一月九日[6]へ

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