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初音ミクSS「君の心は、そこにある」第三章~懊悩~

幕間 其の三[1]




天才とはどのような人間のことを呼ぶべきか。



無限幾何級数計算を瞬時に暗算で解いてしまう程の数理計算能力を持つ者。

又は誰も追いつけぬ程の凄まじい速さで論理を展開する切れ者。

あるいは数日間部屋に籠もって一つの難問に取り組んでしまうような、

並外れた集中力を発揮できる者。



天才と呼ばれる人間にまつわる逸話と能力は正に多種多様である。

天才もやはり人間、彼らが得意とする能力には個人差があり、

それは例えば恐るべき計算能力であったり、

無謀な程の執念と情熱で難問をねじ伏せてしまう集中力であったり、

二〇〇〇ピースのパズルを一瞬で解いてしまう程の空間認識能力であったりした。



しかしそんな天才と呼ばれる彼らには、共通して発揮する能力がある。



それは、直観力だ。



物事の本質を論理的な思惟作用で捉えようとすることは極めて重要だが、

それすらも無粋に感じさせてしまう程、瞬間的に、まさに理屈抜きで、

精神が事象を直接に把握するがごとき鮮烈さで本質を見抜いてみせる能力、それが直観力である。

そして天才たちは己の直観が導くままにあらゆる思考を巡らせて、

様々な偉業を成し遂げてきたのだ。



不完全性定理を証明し、二十世紀数学における最大の功績を残したゲーデル。

無限集合論という禁忌に触れながら、

己の精神を犠牲にして人類科学史に燦然と輝く結果を示したカントール。

クロネッカーの青春の夢を肯定的に解決し、

日本数学のレベルの高さを全世界に認めさせた類体論の創始者、高木貞治。



いずれの天才たちも己の直観をそのままに受け入れ、

そして幾多の困難を乗り越え業績を残してきた。



そして現在。



一人の天才技術者の脳裏をよぎった直観は、

捉え所のない不安となって彼の胸中をざわめかせていた。

そして遂に、暗雲にも似た憂慮は現実のものとなって、

彼と、彼の子供たちに襲いかかってきたのだ。


初音ミクSS「君の心は、そこにある」幕間 其の三[2]へ

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