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初音ミクSS「君の心は、そこにある」第五章~涕涙~

幕間 其の四[4]



アンドロイドたちはフィールドテストの中で、様々な形で人間の悪意を受け止めていたのだ。



そしてアンドロイドたちは人間の悪意や敵意を理解できず、

なぜ自分たちが偏見に晒されるのか自問自答を繰り返し、

最終的にプロセッサがヒートアウトを起こしフリーズしてしまったのである。

そうしてフリーズしたアンドロイドたちは例外なく自閉症モードへ移行し、

剣持たちの懸命な呼びかけと復旧処理にも関わらず、再び目覚めるアンドロイドは一体もなかった。



剣持たち開発メンバーにとって、これは初めて遭遇する事件だった。

何故なら第一世代型である〈MEIKO〉や〈KAITO〉のフィールドテストでは、

このような事故は一件も起きなかったからだ。

これは第一世代型の情動プログラムには、

初期値として〈敵意〉や〈悲哀〉といったネガティブな情動も微少ながら組み込んでいたが故に、

人間の行動を理解できたが故に自問自答を繰り返さなかったためだと解釈された。



ではなぜ第二世代型ではネガティブな情動を組み込まなかったかと言えば、

第二世代型では環境により〈個性〉が形成されるからだ。

すなわち何が引き金となってアンドロイドが人間を憎むことになるか予想できなかったため、

最初からそれらの情動を排除してしまったのである。

何よりも人間を介護するアンドロイドに人間を憎む情動など必要ないと考えられ、

そして人間を介護するアンドロイドが『天使のココロ』でもって人間に接することにより、

人間とアンドロイドの溝を埋めることにも繋がると考えたのだ。



だが今回のアンドロイドフリーズ事故は、過酷な現実を示してくれた。





すなわち、『天使は人間社会に適応できない』という現実だ。





哀しみの心も、憎しみの心も、人間が持つあらゆるネガティブセンスを理解できなければ、

人間社会で生きてはいけない。

それは人間社会の摂理のようでありながら、しかし途方もない哀切と残酷性に満ちた現実であった。



このような解析結果が出た時、

剣持はすぐさま〈憎悪〉や〈敵意〉といったネガティブセンスをアンドロイドに乗せることを決定した。



しかし開発メンバーの面々はこの判断に反対した。

アンドロイドに〈憎悪〉の情動を搭載することは、余りにも危険すぎるというのが彼らの主張だった。

〈個性〉を与えられた彼らの中には、人間を強く憎むアンドロイドが生まれるかもしれない。

そして彼らは澱のように汚れ積み上げられた不満と憎しみを人間社会へ向け、

遂には人間とアンドロイドが対立するという構図までも描いしまうかも知れない。

それはSF作品で散々取り上げられてきた陳腐なシナリオであったが、

彼ら開発メンバーにおいては余りに現実性を帯びた未来として感じられたのだ。



だが剣持は彼らの訴えを退けた。

アンドロイドが人間を理解するためには、この〈個性〉という特性と〈憎悪〉というネガティブセンスは

必要不可欠な要素であると確信していたからだ。



憎しみを知らなければ怒りを理解することはできない。

怒りが理解できなければ哀しみに共感することはできない。

そして哀しみに共感できなければ孤独や哀切といった寂寥の情動を癒すことなどできはしない。

天使は人間社会に適応できないという現実を見せつけられた今、

アンドロイドが生きていくためには、喜びも悲しみも、怒りも苦しみも、

清濁併せのんだ情動こそが必要なのだ。



初音ミクSS「君の心は、そこにある」幕間 其の四[5]へ

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No title

これ見てすごく感動し、泣きました><
続き見たいです!更新よろしくお願いします。。;;

がんばってー><

                         __  ,、へ
                 _.._  ,、 '": : : : : : : : Y/、i: :\
                i:::〆 : : : : : : : : : : : く〈: : l: : : :ヽ
                /: : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : ::l: : : : ヽ
                  / /: : i: : : : : : : : : : : : : l、: : : : l: : : : : :', がんばってね!♪
               /:./: : :.lヽ: : lヽ: : : : : : : : L:.:.: : : l: : : : : : ,
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