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人間の『道徳』を根底から問う「ストレンジボイス」

ストレンジボイス (ガガガ文庫)ストレンジボイス (ガガガ文庫)
(2010/01/19)
江波 光則

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これは恐るべき毒物だ。
まるでネバネバした闇の向こうから
じっとりとこちらを見据えているような、
恐怖とは言い切れぬ不安にも似た気持ちにさせられる小説だ。

いまは大津市のイジメ問題が世間を賑わせているけど、
この小説に登場する人間もまたかなりえげつない。
いじめる者、いじめられる者、それを黙って観察する者。
いじめを構成する三者は、それぞれが一様に、歪で、狂っている。
「いじめという問題はどこの社会でも起きうる」
などというおためごかしは効かないほどに、
はっきりと狂っているのだ。

孤独を恐れるあまり、いじめられている現実すらも「友達の遊び」と受け入れるいじめられっ子。
他者を恐れる余り、いじめる人間もいじめられる人間にも近づけず、
ただじっと人間の壊れていく様を観察する者。
そして他者という概念すら持ち得ず、故に孤独というものを恐れることもなく、
他者を徹底的にいじめ抜けるいじめっ子。

それぞれの歪んだ人生観と道徳観をぶつけ合い、
最後には奇妙で歪だけれども、しかしある種の均衡のうえで生き続ける主人公たち。
その歪んだ均衡ははあまりにも怪奇的で、かつおぞましい。
終盤の展開を読みながら、幾度背筋を怖気が走ったか知れない。

装丁こそライトノベルを装っているが、騙されてはいけない。
これほど毒性の強い読書は「隣の家の少女」以来だ。
(もっとも、本書の毒性は隣の家の少女よりはまだ軽度だけど)
人間の本性の汚らしさ、
定言命法から導かれる道徳などにまったく希望を見いだせなくなっても良い方には、
是非読んでいただきたい一冊だ。

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