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IBMを救った男の自著「巨象も踊る」

巨象も踊る巨象も踊る
(2002/12/02)
ルイス・V・ガースナー

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1992年当時破綻寸前とまで言われたIBMを、わずか数年で復活させたカリスマCEOの自著。
本書を読んでいて思ったのは、いかなる優秀な人員・優秀な組織でも、
それが長年維持され続けると慣性力が働き、いわゆる「官僚化」してしまうことだ。
自分が帰属する組織の利益のみを求め、全社利益を考えない。
結果、組織は硬化し身動きを取れなくなる。

太平洋戦争を思い出せば良い。
戦時中、日本は戦争勃発当時こそ破竹の快進撃で次々とインドネシア諸島を占領したが、
補給線は伸びすぎ、本国からの補給を立たれた前線部隊は
数万人の餓死者を出す悲劇を生み出した。
これはひとえに官僚と企業の癒着による「戦争利権」によるものだ。
官僚が己の利益のみを考え、「国家」という全体利益をないがしろにしたために
補給線は延びきり、ガダルカナル島奪還作戦時においては逐次戦力投入などという
愚策を生み出したのだ。

危機のさなかにあったIBMも、まさに同じ状況だった。
それぞれの事業部は完全に独立しており、販促費や広告打ち出しすらもすべてが独立していた。
故に、一冊のIT情報誌で1ページもIBMの広告が載らなかったかと思えば、次の号ではすべての広告ページがIBM製品のものだった、などという笑えない状況が現実のものとしてあり得たのが当時の状況だったという。
まさしく混乱の極みだった。

そのような混乱をまとめあげ、解決に至らしめたルイス氏の施策。
それは特段珍しいものではない。
問題を洗い出し、不採算事業から撤退し、投資する対象事業を絞り込み、
無駄に金を食い潰している製品のサポートを終了する。
もちろん取った施策はこれだけではないし、何よりもメインフレームを主軸としたというハードウェアメーカーから
BIを主軸としたSIerへの道を選んだのはまさしく英断といえるものだが、
氏の胸奥に息づく「IBMを絶対に変えてみせる」という情熱と、
それを実現させた決断力、そして自社・他社の批判をものともせぬ胆力と強烈なリーダーシップがあったればこそ、
IBMの沈降を防ぎ、さらなる上昇を実現させた大きな要因だったのだと思える。

本書から得られる教訓は、大企業病に冒されたすべての企業に適用できるものだろう。
そして大企業病というのは意外に多くの中小企業が冒されているものだ。
日経ビジネスのニュースによれば、従業員数100名以上の企業になると
人の判断よりもプロセスこそ注視されがちとなり、
中小企業の強みである「フットワークの軽さ」が犠牲になってしまうことが多くなるそうだ。

方向性を見失い、将来のビジョンを描けなくなった中小企業の経営者にこそ読んで欲しいと思える一冊だった。

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