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アニメ「狼と香辛料」には期待して良いと思うんだ

さて、いよいよアニメ版「狼と香辛料」が始まったわけですけれども。

いやね。
オイラぶっちゃけこのアニメには全く期待していなかったのですよ。
つーのもまぁホラ、言わなくてもわかると思いますけど、
謎の新キャラとか出てるじゃないですか。クロエとかいう。

もうね。
この情報を見たときに背筋を嫌な戦慄が走りましたよね。
古今において謎の新キャラを投入して大失敗した例など枚挙に暇が無いぢゃないですか。

そりゃぁDAIさんも飲み会の席で
「おやおや、アニメ版では新キャラの投入ですかぁ?」
などとぶらり途中下車の旅のモノマネをしてしまうくらいに自己を見失ってしまおうというものですよ。
まぁそんなDAIさんの決死のモノマネなんぞ軽くスルーしたわけですが、とにかく新キャラです。
嫌な予感が脳裏をよぎるのを誰が止められるというのでしょう。

んで何の期待もしないまま早速第一話を観賞したわけですけれども、
いやこれ、予想に反して相当面白くなりそうぢゃないですか。


まぁ第一話で分かったことといえば、
原作では男性として出てきたヤレイというキャラクターが消えて、
その代わりにクロエという少女が登場しており、
ヤレイが原作で担っていた役割をそのままクロエが引き継いでいる、ということくらいですけど。
そしてこのクロエがロレンスに仄かな恋心を抱いているらしい、ということも示唆される程度。

しかし。
しかしですよ。
もうここまでで良作の匂いがプンプンしてくるじゃないですか!

というのも。
原作を読んだ方ならわかると思うのですけど、ヤレイってすげぇ影が薄いのですよ。
ラストではロレンスとあれほどの大立ち回りを演じる重要な役どころの筈なのに、
「ヤレイ」という人間そのものと、彼とロレンスが過去にどのような関係にあったのか、
読者は"事実"として「認識」はしているものの、「実感」はしていないわけですよ。

だからラストにおける以下のヤレイの台詞がひどく空回りしているように読者は読み取ってしまうのです。

 「そいつ(ホロ)をこっちに渡せ。
  (中略)
  俺とお前との付き合いじゃないか。
  なあ、ロレンス。
  損得勘定くらい出来るだろう?」

ここまでで、ヤレイは「本心ではロレンスを傷つけたくない」と考えていることを示唆しています。
そして次のページでは。

 「ロレンス。短い付き合いだった。
  (侍らせている手下に向かって)
  男は殺しても構わない。
  娘は必ず生け捕りにしろ」

どうですかこの掌の返しっぷり。
先ほどまでの態度はどこ吹く風、
ヤレイは「ホロを渡さない男=」という関係式を即座に成立させ、
殺害をも躊躇せず指示してしまいます。

このような展開ですと、
「これほど簡単に親友に殺意を向けるなんて、
 ヤレイは本当にロレンスのことを親友と認識していたのか?」
と読者は戸惑ってしまうのです。
「例え村のためとはいえ、ヤレイがホロにこれほど執着することに共感できない」
とも。

このように、読者がヤレイに共感できない最も大きな要因は、
原作において「ヤレイと主人公ロレンスの絡みが一切描かれていない」点にあると考えられます。
ヤレイの登場シーンなんて序盤でヤレイが穀倉に閉じ込められて以降、
クライマックスでちょろっと登場するだけですしね。
しかもロレンスは作中においてヤレイとの思い出を回想することすらありません。
本当に、ヤレイというキャラクターは読者にとって馴染みの薄いキャラクターなのです。


さて。


そこで、ヤレイがロレンスの親友ではなく、ロレンスに恋する少女だったとしたらどうでしょう?
第一話においてはメインヒロイン・ホロよりも多く登場し、
村にロレンスが来たと見るや否や真っ先にロレンスの下へ駆け、
ロレンスへの恋心を隠そうともせずに言い寄ってくる少女。
垢抜けない風貌は、しかし田舎の娘特有の純朴さをも漂わせ、
同時に小悪魔めいた大胆さでロレンスを惑い困惑させつつも、
その瞳はただただロレンスへの好意を一途に湛え続けているのです。

そんな恋する乙女・クロエと、
原作一巻のラストシーンにおけるヤレイの台詞を、
試しにクロエに語らせてみましょう。

 「お願いロレンス。
  その女をこっちに渡してちょうだい。
  あなたは、あなただけは、傷つけたくないの。
  お願い、ロレンス・・・。」

ホラ、台詞にいっきに重みが増した。
クロエはロレンスに恋しているからこそ、
上記台詞における「ロレンスを傷つけたくないという気持ち」がギンギンと読者に伝わってきます。

そしてクロエがホロに執着し続けることについても、
ホロはロレンスを誑かした泥棒猫
とクロエが認識していれば、ホロに拘ることも理解できるというものです。


原作一巻は、非常に素晴らしい物語でした。
行きずりの商人・ゼーレンの何気ない商談から、
国をまたいだ貨幣価値の変動へと物語は遷移し、
クライマックスでは村の権益・商会の利益・商人の巧みな交渉が
物語の中で複雑に絡み合い、
そして清廉なラストへ向かって非常に心地よい展開が読者を迎えます。

その中で、このヤレイというキャラクターには人間味が感じられず、
それだけが原作一巻の中で唯一残念な点だったと言えるでしょう。
しかしそれも恋する少女クロエの存在によって、
クライマックスにおける三者の相関関係がいっきに引き締められるのです。
これにより、「狼と香辛料」という作品における死角は一切なくなったと言っても過言ではありませんね。
いや嘘ゴメン。
若干過言かも。


京アニKanonのラストでは、原作に無いエピソードを一振り加えることで、
Kanonという物語を完全に結ぶことに成功しました。
このアニメ版狼と香辛料においても、
クロエというキャラクターによって、より高みの作品に昇華されることが期待されます。

いや結末がどのようなものとなるのか、非常に楽しみなアニメですね。
今期アニメの最有力株でありましょう。


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