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未来を拓くため過去の後悔と向き合う「あずけて!時間銀行」

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あずけて!時間銀行を読んだ。面白かった。

舞台は人間に残された残りの寿命を、あたかも金銭のように取り扱える銀行を舞台にしたSF小説。
時間の定期預金や、一時的に時間を借り入れられるキャッシングシステム、そしてそれをやりとりするデイスペンサーなどなど、本当に時間の概念をそのまま銀行業務に割り当てたような世界観。

だが物語は単純な時間管理業だけでは終わらない。

主人公の往事洋斗は、普段は面倒くさがりのグータラだめ人間だが、妹のこととなると奮起しすべてを投げ打つ覚悟を見せるシスコン兄貴。

そんな洋斗が、時間銀行の時間回収業務という危険な仕事に従事するようになった。
なぜ彼は時間回収業務を行うようになったのか。彼の目的はなんなのか……

と煽ってみたところで、洋斗のシスコンぶりは第一章でいかんなく描写されているため、まあ彼の目的や行動理由はなんとなく察せられる。
だがそこに至るまでの理由が泣かせるし、また最後のエピローグもエッジが利いてるから、物語を楽しむのに不都合はないだろう。

この物語は時間を取り戻す物語だ。
人は己が生きてきたなかで、様々な行動を起こし、そして後悔する。
それがほんの一時の失敗ですむならいいが、ときにはその人の人生そのものを腐らせてしまいかねないほどの毒をもつ。
主人公たちの仕事は、そんな後悔を重ねすぎて、心のしこりがずっと残り続けてしまった人たちの「毒」を取り除くことだ。

ある人は「あのとき、あと五分早く家を出ていれば」と後悔する。
ある人は長年連れ添った妻に対して「自分と結婚して本当に後悔してないのか」と疑い続ける。
またある人は、幼少期における父の姿がトラウマとなってしまっている。

そんな人々の「毒」を解消し、後悔することで無為に消費された時間を取り戻す主人公たち。

そこで彼らは知るのだ。過去を変えることはできないし、己が下した判断を覆すことなんてできない。
だが「あのときこうすればよかった」という後悔はずっとその人の記憶にこびりつき、人生を後悔のまま過ごさせてしまう毒薬そのものであるが、それでも、過去の記憶という夢の世界のなかだけでもその後悔を取り除いてあげるだけで、人々は救われるのだと。
だからこそ主人公たちは過去に捕らわれた人々のために奔走し続ける。

これは過去の後悔に捕らわれて現在を生きられなくなった人たちを、もう一度未来へと目を向けさせてあげるきっかけを作る人々を描いた、ヒューマンSFドラマなのだ。
未来を生きるために、現在と過去の因果を断ち切る。
そんなキーワードに熱いパトスを感じてしまった方はぜひ手にとってみてください。
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