案の定またしてもブログの更新間隔が空いてしまったので、
ここでまとめて更新。
■ヤバい統計学(カイザー・ファング)

総評:★★★☆☆(3点)
世の中には3つの嘘がある。
嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ。
こんな格言を残したのは19世紀のイギリスの政治家ベンジャミン・ディスレーリであり、そして統計の幻惑術を利用したノウハウ本や騙されないための喚起本など枚挙にいとまがない。
だが本書はそういった統計の悪しき側面を映し出した物では無く、
統計学者たちが努力と根性と気合いと努力(2回目)でもって勝ち得た統計学の勝利の記録だ。
発生した事件や問題に対して調査員たちがどのように戦いを挑んだか、
その戦いはどれだけ困難なものであり、それに立ち向かい、勝利を獲得した統計学者たちは
いかなる智慧と知啓と努力(3回目)で乗り越えたのか。
まさにこれは統計学者たちのプロジェクトXだ。
最近はビッグデータの恩恵で、データを解析するための統計学がもてはやされてるが、
この本は統計学の教科書ではないけれども、どのような場面で学問が応用されてるかを垣間見える良書でした。
■Story Seller 3

総評:★★★★☆(4点)
相変わらず質の高い短編集。
今回もまた各作家陣の作品はそれぞれの作家の特色がよく現れた傑作揃いだった。
個人的には湊かなえさんの「楽園」と、
米澤穂信さんの「満願」が好みだった。
これらは短編にするには勿体ないほど濃密で重厚な主題が込められており、
読後感もこれまた独特だ。
その他、近藤史恵さんの小説は相変わらずホモホモしいし、
佐藤友哉さんは相変わらず中二全開で浮きまくってるあたり安心できる。
そして本書にて初めてさだまさしさんの小説を読んだのだけど、
うん、まぁ、あれですね。
なかなか独特の構成の小説をお書きになるというか文体が極めてアレというか。
本書に米澤さんや湊さんの作品も一緒に収録されているから
総合的に高評価だったけど、さだまさしさんしか寄稿されていなかったら、
ちょっと本書に対する評価はもっとアレな感じになってたことは
否定できないようなそうでないような(どっちだ)
■嘘だらけの日米近現代史(倉山満)

総評:★★★☆☆(3点)
拝米主義に陥りがちな日本人意識へ一石を投じる意欲作。
「みんなアメリカにびびりすぎ!奴ら全然大したことねーぞ!」
という主義主張を全面に押し出した問題提起作であり、
著者のその姿勢には幾分か同調する部分もあるのだが、
いかんせん中身が偏りすぎているのがちょっと気になる。
例えば「第1次〜第2次大戦の国際社会におけるアメリカは第三諸国程度の、まったく取るに足らない国だった」というのはちょっと言い過ぎでしょう。
第一次大戦当時のアメリカは戦争に対して慎重で、
そんなアメリカを戦争に引き込みたくてイギリスが諜報活動により
機密情報漏れをメキシコのせいに見せかけるという戦術をとらせる程度には
アメリカは国際社会の中で戦力的に重要なファクターを占めていたと考えるべきかと。
まぁ第2次大戦当時のアメリカ、というよりもルーズベルトがクズだったことには異論を挟みませんけど。
ちょっとこの1冊だけを読んでそのまま鵜呑みにしてしまうのは危険かなぁ、と感じてしまった次第。
■戦争の常識(鍛冶俊樹)

総評:★★★☆☆(3点)
地政学から始まり、
そもそも歩兵とはなにか、戦車とは何か、
陸軍とは、海軍とは、空軍とは、
そして情報戦争や核戦争の行方は、
などなど、現代の戦争を構成する基本要素について非常にわかりやすくまとめられた良書。
結局のところ、現代の戦争って具体的にどんなもんなの?
とか、
何がきっかけで戦争になるもんなん?
とか、意外に知らない戦争のあれこれについて
基本的なことを知っておきたい、というときにうってつけの一冊でございます。
- 関連記事
-
スポンサーサイト