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有川浩「図書館危機」「図書館革命」「レインツリーの国」「阪急電車」感想

有川浩の「図書館危機」と「図書館革命」と「レインツリーの国」と「阪急電車」を読んだ。面白かった。

【図書館危機と図書館革命】

昨年の年末、塩の街ですっかり有川浩作品に入れ込んでしまったオイラは、
塩の街を読み終えてしまう前に即座に本屋へ出向き、
そこで陳列されていた有川浩の本をまとめて大人買いしてきたのですよ。

塩の街という素晴らしい傑作を書いた作者ならば、
 他の作品も絶対に俺の嗜好に合うに違いない!」

と半ば確信に近い思い込みを伴いながら。

で。

その思い込みはまさに大当たりも大当たり、
この図書館戦争シリーズは有川浩の最高傑作と呼ぶに相応しい大傑作にございました。

特にラストの盛り上がり方は本当に素晴らしい。
最近読んだ本の中で、瞬間最大風速が最強のクライマックスを展開したのは、
狼と香辛料3巻のオークションであるとオイラは勝手に思ってるのですけど、
申し訳ないけど、図書館革命のクライマックスはそれを越えたね。

1巻に相当する図書館戦争から全4巻に渡って繰り広げられてきた、
メディア良化委員会との戦い。
それら全ての戦いの歴史が、このクライマックスで収束しようとするのです。

これまでメディア良化法に対して受動的な、
いわゆる「守り」の戦いしかできなかった図書隊が、
初めて迎える「攻め」の戦い。

図書館だけでなく、出版、ラジオ、新聞、テレビ、
その他様々なメディアを縦横無尽に巻き込んで
日本国政府に戦いを挑む我らが図書隊!

信頼し、裏切られ、逃走し、負傷して、次々と脱落していく仲間たち。
焦燥と不安の中で、それでも最後の奇貨を手中にせんと、
必死で食い下がる主人公。
頭も悪い、技術もない、指示を請うにも連絡手段がない。

だけど、今ここで自分が踏ん張らなければ、
日本の将来は本当に真っ暗になる。

そんな最悪の事態の中で、懸命に走る主人公。
逃げて、探して、無い知恵を振り絞って、
何とか最後のバトンを繋げようともがき続ける姿は、
繰るページを止めることも出来ないくらいに、
読者を引き込んで止みません。

興奮の坩堝(るつぼ)という使い古された言葉がありますが、
この小説のクライマックスを表現するのに
これほど的確な単語があるというのか。

いやもう、これは本当に面白かった。
4月からはアニメ版が放映されますけど、
アニメではぜひこの図書館革命のエピソードまで描ききって欲しいものです。


【レインツリーの国】

図書館内乱で登場した同名小説の作中作。
図書館内乱ではこの小説をきっかけとしてひとつの事件が勃発するのですが、
それはまた別のお話。

これまではちょいとファンタジーじみた設定を交えた、
アクションSF小説ラブコメ風味、といった按配の作風の有川氏でしたが、
この小説は本当に真正面から正攻法で
「ワケありの男女の心の機微」
を描ききってるという、氏としてはちょいと珍しい作品。

そしてその異端性は登場キャラクターにも現れていて、
これまでの氏の作品では様々な人物が登場して、
彼らの人生や言動、思惑が複雑に絡まりあって物語が進んでいくのが通例でしたのに、
この小説では主人公とヒロインの二人しか登場しないのですね。

いや、勿論脇を固める手堅いキャラクターもちゃんと登場するのですけど、
それはあくまで「脇役」でしかなく、
やっぱり物語の根幹には一切関わってこない人たちばかり。

しかしそれだけに、深い。
本当に深く深く、主人公とヒロインの人生観や個性などが
繊細に、絶妙に描かれているのですね。

これほどまでに一人の人間を深く描ききる作風を持つ作家は
文芸には数多くいらっしゃいますけど(林真理子や村山由佳、群よう子も入れていいか?)、
ライトノベル界には全くもっていない人材ではないでしょうか。

いや、だからこそこの小説はメディアワークスではなく、
新潮社から出版されたのかもしれないけど。

ただ読み終えた感想としては、
ライトノベルやミステリー、SFなどの
急転直下な展開が始終繰り広げられる小説を読みなれている人にとっては
この小説はかなり退屈に見えてしまうかも。
オイラは天使の卵や不機嫌な果実などを厨房の頃から読んでいたこともあり、
こういうのっぺりとした展開も比較的受け入れられましたけど。

有川作品を知らない人は、とりあえずこの本は避けておくことが無難だとは思いました。
つかまずは塩の街を読め。悪い事言わないから。


【阪急電車】

有川浩氏の最新刊。
電車に乗る様々な人々の人生模様を少しずつ少しずつ抜き出し、
それを各駅に小刻みに止まる電車のように
ごく短い章に区切られながら、テンポよく物語を組み立てられた小説。

これもまたレインツリーの国のように
比較的のっぺりとした展開が続く小説ですが、
それでも200ページちょっとの小説にしては登場人物がかなり多く、
しかしそれらを混乱させないように
緻密な計算に基づいて構成とプロットが組み立てられているため
非常にテンポよく、気持ちよく読み進められる小説でした。

つーかこの小説を読み終えた第一印象は、甘い。
とにかく、甘い。

何つーのかしら。

CLANNADにおける渚とのラブラブっぷりを、
ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと
描かれた感じかしら。
多少の諍いをしたりもするし、ちょっとした自棄を起こしたりもするけど、
そんなちょっとした事件も
恋人たちの絆を強く結ばせるきっかけにしかなってないあたり、
もう本当に甘いっつか羨ましいっつか僻みの情を捨てきれないっつか。

まぁとにかく有川氏が描くラブラブ小説を心行くまで堪能したい
リア充かドMの皆さんはぜひ読んでみれば良いとおもいます。


   

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