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恥と、死人と、紙を食べる妖怪の物語「"文学少女"と死にたがりの道化」感想




野村美月の「"文学少女"と死にたがりの道化」を読んだ。面白かった。

溝正史からいっきに軽めのライトノベルへ移ってしまったために
そらまぁ読みやすいこと読みやすいこと。
現代の口語的表現であるライトノベルと、
数十年前の小説の文章を比べれば、
そりゃ当然ラノベの方が現代人の俺にとって読みやすいことは当たり前なのですが、
それを差し引いてもこの文学少女は非常に読者に優しい文体であるなぁ、と。
そのような想いを抱かずにはいられなくてですね。

というのも、この文学少女は凄く起承転結の波が狭い。
先日読み終えた獄門島も
それはそれは素晴らしいミステリー小説で、
物語中あらゆる場面に散りばめられた伏線の数々を
ラストでいっきに畳みかけてくるその様はまさに圧巻の一言であり、
この獄門島という作品に対して難癖をつけるつもりは毛頭ないのですが、
それでもこの文学少女と比べてしまうと、
いわゆる「山場」の数というか、「読者を引き込む」手腕においては
文学少女に軍配が上がるのかなぁ、と。
個人的に勝手にそう思うわけでありますよ。

この文学少女という作品の中では、
「謎」の要素がとにかくあらゆる場所に四方八方にばらまかれているのですよ。
しかも、それらの謎は決して一所に密集しているわけではなく、
そして作者もそれらを少しずつ少しずつ小出しにしてくるんですね。

そのペースたるや凄まじい波長の短さで、
数ページ進むたびに新たな謎と、それを解く鍵となる真実が明かされ、
そこからさらに新たな謎が提供される。
その小気味良い構成のテンポにしっかりと心奪われてしまい、
気がつけば、読者はあっという間に時間が過ぎてしまっていることを知るのです。

またこの作品において頻繁に顔を出す太宰治の「人間失格」ですが、
今年初めに人間失格を読んだばかりのオイラとしては、
おもわずニヤリとしてしまうシーンがちらほら。
この本を読み終えた今、
もう一度人間失格を読みたくなってしまうから不思議なもんです。
人間失格を読んだばかりのころは、二度とこんな本読むものか、とすげぇ沈んでたというのに。

とまぁ、ライトノベルでありながら、
冗長と言える程しつこく近代文学の魅力について語られた本作品。
とりあえず人間失格や他の太宰作品を読んでから、
この本を手に取ってみれば面白さも数倍となることでしょう。
もちろん、文学と呼べる小説は国語の授業でしか読んだこと無い、という人も、
この本はしっかりライトノベルしているのでご心配なく。
紙を食べる妖怪のようなド変態に萌えの感情を抱ける自信がある御仁は、
是非とも読んでみてはいかがでしょうか。




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